トンネル設計は専門的な知識が必要
道路トンネルも道路の一部分ですが、建設コンサルタントの中でもトンネル計画に従事している技術者は少なく、かなり専門的な分野になります。
トンネルを計画するに際しては、地山条件調査(地形、地質、水文)、気象条件調査、立地条件調査(環境、施工条件)などの細かい調査が事前に必要であり、特に地山の地質調査は大変重要で、岩盤の硬さや地下水量などは、トンネル断面や掘削条件に大きく係わってきますのでしっかりとした調査が必要です。
またトンネル掘削による周辺への影響や、坑口付近の地すべり対策などにも関係してきますので、土木の知識だけでなく地質学的な専門知識が必要となります。
更にはトンネル施工後も地盤沈下や水質汚染、渇水影響などの調査を行い、周辺地域への影響が出ていないかを見極める必要があります。
トンネルの線形
トンネルの平面線形は、直線もしくは拡幅を必要としない大きい曲線半径を用いるのが原則です。
ちなみに、拡幅というのは曲線半径がある一定の値より小さい場合に、車線幅にプラスする必要のある幅のことです。自動車が曲線区間を走行する時は、前輪と後輪では違う軌跡となり後輪の方が内側に来ます。ですから曲線半径が小さいと標準の車線幅では足りなくなるのです。
トンネルの場合でも同じで、曲線半径が小さいと車線の拡幅が必要となり、結果的にトンネル断面が大きくなり工事費が高くなります。
縦断的な線形も制約があり、縦断勾配の最小値は湧水などを排除することを考慮して0.3%とし、湧水が多くトンネル延長が長い場合は0.5%とする必要があります。
また上り勾配がきついと排気ガスの量が増えますので、最大勾配はトンネル内の換気を考慮して2%以下が望ましく、やむを得ない場合でも3%を限度とするのが良いです。ただし、短いトンネルで換気を必要としない場合は関係ありません。
高速道路などのトンネルは、上下線が別々に掘られていますがどうしてだと思いますか?
それは安く安全に造るためです。トンネルの高さはそのままで、幅だけ4車線分を確保しようとすれば、凄く扁平な形になり構造力学上無理があります。また円形にしようとすれば、非常に大きな円となり不必要な上の部分まで掘削するはめになり、トンネル自体の壁の厚さも太くしなければいけないので、コンクリート量などが大量に必要となり不経済です。