「マンガの王様」石森章太郎~永遠の名作サイボーグ戦士たちの物語
今回は石森章太郎の代表作である「サイボーグ009」について紹介します。「サイボーグ009」がスタートしたのは1964年の週刊少年キングからです。その後、少年マガジンや冒険王で連載され、その分の単行本が秋田書店より、第1巻「誕生編」から第10巻「天使編」まで発売されました。
誕生編~天使編
最初の方(誕生編や暗殺者編、ベトナム編)は、悪の組織ブラックゴースト団により改造されたサイボーグ009こと島村ジョーが、8人の仲間とギルモア博士と共に脱走して、ブラックゴースト団からの執拗な攻撃に対して仲間と一緒に戦う話が中心です。その後「ミュートスサイボーグ編」や「地下帝国ヨミ編」「移民編」「ローレライの歌編」「海の底編」などと進み、「天使編」へと続いていきます。
「天使編」は神々との戦いという事で、サイボーグ戦士たちの最後の戦いであり、壮絶な戦いが予想されましたが、序章部分を描いたのみで中断され、結局、石森章太郎の死去により完結されないままです。息子の小野寺丈氏の話では、009が完結していない事が最後まで気がかりだったようです。すでに構想は出来ていたみたいですので、非常に残念です。
サイボーグ戦士たち
すでに多くの作品が有り、アニメや劇場公開もされているので、知っている方も多いと思いますが、改めて作品に登場するゼロゼロナンバーのサイボーグ戦士たちを紹介しておきます。
001・・イワン・ウイスキー
ロシア人の赤ん坊で、脳を改造され超能力を身に付ける。ほとんど寝ているが、皆に危機が迫る時は目覚めて窮地を救う。仲間との連絡はテレパシーを使っている。
002・・ジェット・リンク
アメリカ人でニューヨークに住むストリートギャングのリーダーだった。他のグループの男をナイフで刺して、逃げているところをブラックゴースト団に捕まり改造される。メンバーの中で唯一空を飛ぶことが出来る。
003・・フランソワーズ・アルヌール
フランス人でメンバーの中で唯一の女性。元バレリーナで美貌の持ち主、009を愛している。聴覚と遠視能力に優れていて、遠くの音を聞き分けたり物を見たり出来る。また透視能力も有る。ちなみに1950年代から1960年代にかけて、同姓同名のフランス人の女優が存在していました。
004・・アルベルト・ハインリヒ
ドイツ人で恋人とベルリンの壁を越えようとして重傷を負い、ブラックゴースト団に捕まり改造される。身体の殆どが武器になっていて、右手にはマシンガン、左手にはレーザーナイフ、両足にはマイクロミサイルが装備されている。さらには体の中にはヒロシマ型原爆が組み込まれている。
005・・ジェロニモ・ジュニア
アメリカインディアンで褐色の肌を持つ大男。100万馬力の怪力の持ち主で、その皮膚は砲弾にも耐える事が可能。ネイティブアメリカンという事で、動物と会話したり精霊の声を聴ける。
006・・張々湖(ちゃんちゃんこ)
中国人で料理が得意。普段は中華料理店を経営したり、メンバーの食事の世話をする。高熱の火炎を口から放射出来る他、催眠術も得意としている。
007・・グレート・ブリテン
イギリス人の舞台俳優だったが酒におぼれていたところを捕まり改造される。ヘソのスイッチを押すと他人はおろか、鳥や動物、はたまた小石や岩石などにも変身出来る。
008・・ピュンマ
ケニア出身の黒人青年。普段は密猟を取り締まったり、公園を管理したりしている。深海活動用に改造され、水の中でならずば抜けた戦闘能力を誇る。
009・・島村ジョー
日本人と国籍不明の父とのハーフで、孤児院で育つ。差別や偏見に耐えていたが、罪を犯して少年鑑別所に入れられる。そこを脱走した時にブラックゴースト団に捕まり改造される。最後のゼロゼロナンバーという事で技術が結集され、他の仲間より全てにおいて優れている。最大の武器は、奥歯に組み込まれたスイッチで作用する加速装置で、多段変速が可能であり、最大加速マッハ5となっている。
以上ですが、名前もキャラクターも持っている能力も、よく考えてありますよね。発表した当初はここまで長く続くとは、本人も思っていなかったでしょうね。今現在、石森章太郎の次男が社長をしている石森プロの方で、新作アニメの公開とかを考えているようですが、私としては石森章太郎本人が描くサイボーグ009を見たいです。