「マンガの王様」石森章太郎~サイボーグ戦士たちよ永遠に
1970年代の作品
1970年代になると、サイボーグ009は多数の雑誌に掲載されました。それは途中で中断された「天使編」の続きではなく、また別の物語として色んな作品が描かれたのです。順番に紹介しますと
週刊少女コミック・・・・風の都編、雪のカーニバル編、エッダ編
プレイコミック・・・・・・グリーンホール編
月刊少年ジャンプ・・・・ディノニクス編
少年マガジン・・・・・・・・幻影島編
増刊冒険王・・・・・・・・・・海底ピラミッド編
少年サンデー・・・・・・・・黄金の三角地帯編、アステカ編、未来都市編
などが有ります。この頃になると、サイボーグ戦士全員で悪と戦うというより、何人かで世界の各地に行き、事件を解決する作品も見られるようになります。
「風の都編」などは、インカ帝国の地が舞台で、行方不明になった007の友人を探すためにそこへ行きますが、そこで待っていたのは、インカの建国者たちから置き去りにされ感情を持ってしまったロボット・・・という話です。
「雪のカーニバル編」は北欧が舞台で、009と004の二人で雪祭りの頃に現れる魔女の真相を暴くために訪れますが、そこには二人の姉妹がいて、一人は身体が弱く臓器移植を受け、一人は臓器を提供するために引き取られた子で・・・という話です。
最後の「未来都市編」は、コンピューターが管理する都市での出来事を描いた作品です。そのコンピューターが003に惚れてしまい、003が好きな相手を抹殺しようとしますが、最初は009だとは分からずに他の仲間を襲います。しかし009が本命だと分かると執拗に009を狙い続け・・・という話です。
1980年代の作品
1980年代になると、少年サンデーから6つの物語が発汗されました。サイボーグ戦士が宇宙に飛び出して活躍する作品も有りますし、サイボーグ戦士たちの日常を描いた作品も有ります。発売順に紹介しますと「イシュタルの竜編」「コスモ・チャイルド編」「アフロディーテ編」「スター・マーメイド伝説編」「ザ・ディープ・スペース編」「時空間漂流民編」となります。
その中で「コスモ・チャイルド編」はサイボーグ戦士たちが、エイリアンに追われたフルル星人の子供たちと出会います。そのために地球も危なくなり、009はその子供たちの力を借りようとしますが、「相手を殺すと自分も死ぬ」という言い伝えを信じている子供たちは戦おうとしません。実はその言い伝えこそが、フルル星が滅びの道へと進む事を制御するためのものだったのです。しかし子供たちはついに力を発揮し始めて・・・という話です。
「スター・マーメイド伝説編」は7編で構成されていて、最初の1編は宇宙に連れ去られたサイボーグ戦士たちが、2つの種族の戦争に巻き込まれる話です。残りの6編は短編となっていて、サイボーグ戦士たちの日常を描いた作品なので戦う場面が有りません。可笑しくもあり悲しくもある物語が綴られています。
1960年代から1980年代と、長い年月をかけて発表され続けたサイボーグ009ですが、名作と言われるからこそ、幾度も連載する機会を与えられたのでしょうね。発表された作品の中には、彼らの未来を暗示するような場面もチラッと描かれたりしています。石森章太郎がこのサイボーグ戦士たちを、最終的にどうするつもりだったのか知りたかったですね。いずれにしても、石森プロの手によって永遠に語り継がれていくことを願っています。