土圧と擁壁の安定(その3) 土圧を受ける構造物は部材厚の検証も必要

マンガでわかるコンクリート

ここまでは、土圧に対する擁壁自体の安定について説明しましたが、擁壁の部材厚(L型擁壁の縦壁の厚さ等)も土圧に対して壊れない厚さとしなければいけません。

L型擁壁が土圧を受ければ、縦壁の付け根辺りに応力が生じるので、その応力に対して、縦壁部分の厚さが足りているかの検証が必要です。これは擁壁だけに限らず、水路や側溝の縦壁などの様に、土圧を受ける構造物では必要な事です。

土圧を受ける縦壁の場合、土圧を受ける側の壁面付近には、土圧により曲げ引張り応力が生じ、反対側の壁面付近には曲げ圧縮応力が生じます。この両方の応力に対して、コンクリートの許容応力の方が大きければ大丈夫という事になります。

コンクリートは引張り力に弱い事は以前話しましたが、土圧により曲げ引張り応力が生じて、その値がコンクリートの許容曲げ引張り応力を超える場合は、部材を厚くするか、鉄筋クンクリートにする必要が有ります。

重力式擁壁の様に、部材厚が大きいと無筋コンクリートで大丈夫ですが、薄い場合は鉄筋コンクリートとして計画します。工場で生産するプレキャストL型擁壁は鉄筋コンクリート製品ですが、品質管理が可能である事から、コンクリートの強度自体を現場で造るよりさらに高くして部材厚を薄くしています。水路や道路で使用する側溝等も、今は殆どプレキャスト製品を使用していて、壁厚を薄くした鉄筋コンクリート製品になっています。

話は変わりますが、コンクリートと言えば、一般的にセメントコンクリートの事を指しますが、舗装で使うアスファルトも正式にはアスファルトコンクリートと呼びます。コンクリートの定義は「砂や砂利などの骨材を、水と一緒にセメントなどの糊の役目をするもので結合させたもの」という事になるので、セメントで結合させたものがセメントコンクリートとなり、アスファルトで結合させたものがアスファルトコンクリートとなります。