男らしさ、女らしさとは何か

日本人の「男らしさ」 -サムライからオタクまで 「男性性」の変遷を追う-

「男らしい」「女らしい」へのイメージ

あなたはどんな事柄が「男らしい」「女らしい」と思いますか?

  • 自分の気持ちを積極的に言える
  • 優しい
  • 思いやりがある
  • スポーツや運動ができる
  • 気配りができる
  • 無口
  • 元気
  • かわいい
  • リーダーシップがある
  • おとなしい
  • しっかり者
  • 明るい
  • 気がある

いかがでしょうか。人それぞれ、男らしい女らしい、思う項目があると思います。例えば、小学校時代の同級生を思い浮かべてみてください。積極的に発言できるのは誰でしたか?またおとなしく、無口だった同級生はどんな人がいましたか?読んでいる方によって、それは男の子であったり、女の子であったりするのではないでしょうか。地球ドラマチック「選「4歳児のヒミツ~驚きがいっぱい~」では、4歳児の保育園での過ごし方、関係性の築き方、言動を観察したイギリスのドキュメンタリー番組が紹介されていました。そこでは、電話をかけるというような「ままごと」で遊ぶ男の子がいました。また同じ「男の子」でも自分で作ったゲームで棒状の段ボールを蹴るというルールのない遊びを好む子もいますし、きっちりとしたルールを守る遊びを好む子もいました。他方「女の子」でも支配的な、リーダーシップを発揮する子もいますし、おとなしい子もいました。また、自分が男らしい、女らしい、と思う項目に分けてみた後、自分はどれに当てはまるかを確認してみてください。あてはまる項目はいくつありましたか?

何が男らしいか女らしいか、という基準はその人によって違います。そして同じ基準を使っても、何に当てはまるかは個人によって差異があります。完璧な「男らしい人」完璧な「女らしい人」というのは、珍しいのではないでしょうか。また、人によって何が男らしいか女らしいかの基準は異なりますし、ほとんどの人が「男らしい部分」「女らしい部分」とされる部分を持っています。

国別でも違う「男らしさ」「女らしさ」

日本(東京)と韓国(ソウル)への高校生への調査で、「次のどのようなことを女らしいと思うか」(2001年)と言うものがあります。その中で「心が優しい」「友だちに親切」という項目はどちらとも高いポイントでしたが、「心が優しい」という項目では東京の方が12%ほど高く、女子の回答に限れば20%近く差が出ています。

他方、一見日本では女らしいとはされていないと思われる「何事にも積極的」「自分の意見をはっきり言う」という項目では、韓国(ソウル)の高校生は日本(東京)よりも高くなっています。具体的には「何事にも積極的」では日本(東京)20.8%、韓国(ソウル)33.6%、「自分の意見をはっきり言う」の項目では日本(東京)23.5%、韓国(ソウル)38.1%と差があります。

さらに「次のようなことを男らしいと思うか」という同様の調査では、一見日本では男らしいという印象がある「スポーツが得意」「頼りになる」という項目では日本(東京)の方が大きく差を開けてポイントが高くなっています。具体的には「頼りになる」の項目では日本(東京)72.2%、韓国(ソウル)54.1%となっています。「スポーツが得意」という項目では日本(東京) 53.0%、韓国(ソウル)39.4%と日本の高校生の方が「スポーツが得意」ということが「男らしい」と思っているようです。日本の女子高校生57.6%、男子高校生45.0%、韓国女子高校生40.2%、韓国男子高校生37.8%と、日本の女性高校生がとりわけ「スポーツが得意」ということが「男らしい」と思っており、またこの調査では全体に女子高校生の方が男子高校生よりも「スポーツが得意」ということが「男らしい」と思っている傾向にあると判断できます。

ちなみに、近年時々放送されている、運動ができない芸人にスポーツをさせるという趣旨のバラエティ番組のコーナーも、お笑い芸人は男性が圧倒的に多いということもありますが、男性は一程度運動やスポーツができるという前提があるからこそ成立する企画なのかもしれませんね。さらに6か国を対象とした研究では、日本では「男らしい」とされがちな「他人との競争に勝てる」という親の期待もアメリカ、フランス、スウェーデン、韓国、日本では男の子に期待していますが、女の子の場合でもアメリカとスウェーデンの母親が女の子に対しても「他人との競争に勝てる」ということを期待しています。

このように同じ「女らしさ」「男らしさ」が何なのか、国によってもその認識には差があります。また、「男らしさ」「女らしさ」の度合いもその国によって違っています。

引用・参考

  1. 井上 輝子、江原 由美子編『女性のデータブック―性・からだから政治参加まで』、東京:有斐閣、2005.
  2. Eテレ「選「4歳児のヒミツ~驚きがいっぱい~」」20150927、1:00~1:44放送分http://www4.nhk.or.jp/dramatic/x/2015-09-26/31/1032/2340407/
  3. 大槻奈巳「親は子どもに本当は何を期待しているのか――「男らしく女らしく」への期待から――」、『国立女性教育会館研究ジャーナル』2008年、12巻。