土木事業を語る上で道路事業は外せません
道路計画が土木事業の基本
道路事業といえば真っ先に思い付くのが高速道路ですが、その他にも都市高速道路や国道のバイパスなどがありますね。道路事業に関係なく、ダムの建設や橋梁などを造ろうとする場合にも道路計画が必要になります。どういうことかと言いますと、ダム建設により水没する道路に関しては付け替え計画が必要ですし、またダム本体や橋梁の下部工を施工するためには工事用道路というものが必要となります。
このように、ほとんどの土木事業において道路計画は基本となるものなのです。そして道路の種類に関係なく、道路を造る場合は何処を通すのが最適なのかを知るためのルート検討が必要であり、とりわけ高速道路のような高規格の道路に関しては、最適なルートの決定がその後の工事に大きく影響してきます。
ルート検討時の留意点
高速道路やバイパスのルート検討を行う場合に大切なのは、通過させてはいけない場所(コントロールポイント)を明確にすることです。一般的に避ける必要がある場所としては、
- 市街地や人家密集地
- 公共施設や神社仏閣
- 古墳や遺跡が確認される場所
- 急傾斜地崩壊危険区域
- その他、移転や移設が困難であると思われる物件や施設
などがあります。
最適なルートを決定する際は、上記のコントロールポイントに留意した上で、何本かのルートを引き、それぞれのルートの概算事業費などを算出して、経済性や利便性及び、そこを通過させることによる効果や影響などを総合的に判断して決定します。
トンネルや橋梁が多い理由
ところで、日本の高速道路はトンネルや橋梁が多いと思いませんか? どうしてでしょうね?要因の一つとしては、日本は平地が少なく、山のふもとにまで人家が有ることから、山沿いに道路を計画することが多いというのが挙げられます。
ただ高速道路は、ある程度は緩やかな線形が必要ですので、設計速度の低い他の道路と違って、山に沿って造るという訳にはいきません。良い線形を確保しようとすれば山や谷を越えて行くしかないのです。山をトンネルで超えたら、次は谷が待っているので必然的に橋梁となります。それを繰り返すのでトンネルと橋梁が連続した構造になってしまうのです。
またトンネルにする他の理由としては、用地取得の容易さが有るのではないでしょうか。トンネルの場合は、入り口と出口のある程度の部分だけしか用地として必要ありませんので、用地交渉に時間を費やす必要がありません。日本の地方の場合は、山沿いの狭い場所でも地権者が何人もいる場合があり、用地交渉が困難になる事も少なくないのです。