野球の裏話 ショート(ポジション)について
現代の日本の野球において「ショート」は二塁と三塁の中間より若干二塁側を中心に動き回る役柄のポジションです。内野に分類され、その役割は多岐にわたるため、単純な身体能力の高さだけでは全うすることが難しいと言われるポジションです。
先ほど、「現代の日本の野球において」と断りを入れました。あえてこう書きました。
実は野球のルールでポジションについての制限がほとんどないのです。制限があるのはあくまでも投球の際のピッチャー、それと投球前のキャッチャーが固定され、他のポジションはフェアエリアにいればどこにいてもよいのです。つまり外野を守っていながら「私はショートです」と名乗ってもルール上問題にならないわけですね。
実際、明治時代ではマウンドのプレートと二塁の中間を守備している選手がショートと呼ばれ、セカンドの選手は二塁上で守っていた実績もあります。それに漫画の世界では逆にバント封じのためにピッチャーとキャッチャーの間位で守っていることもありますが、これもルールには抵触しません。
今のショートのポジションについて、なぜここに落ち着いたのかという話は諸説あります。
打球の抜ける速度と人が反応できる時間、それと平均的な守備範囲を考えた結果であろうことは予測できます。また、ルール上、守備位置を頻繁に変えることもできますが、複雑すぎる動きは逆効果だったことも裏事情としてあったはずです。
このショートの守備位置を決定づけることで一番影響が大きかったのは間違いなくセカンドでしょう。守備位置が変わっただけではなく、バッテリーとの連携の仕方も変わり、かつショートとの連携も必要になりました。それにより二遊間は間違いなく、野手としては最も頭を使うポジションになりました。
こういう経緯があり、今のショートの守備位置があるわけですが、意外と知られていないのがショートの英語名。Short Stopと書きます。SSと書かれた表示を見て「?」となった人は多いはず。つまりは、短く、遮るという意味になります。実は明治時代、ショートは今の遊撃手ではなく、「短遮者」と呼ばれていました。当時の守備位置(上述参照)のことも考えると、なるほど、と納得できてしまう話ですね。
今ではその守備位置も役割も変わったことで遊撃手と表記されるようになりました。
頑丈な人がバッターの目の前でShort Stopしたら、それはそれで恐ろしいチームにもなりそうですが、あくまでもそれは漫画の世界の楽しみ方になるでしょう(笑)。