2015年度アカデミー賞ノミネート作品総まとめ
2016年1月14日に第88回アカデミー賞のノミネーションが発表されました。
最多ノミネート作品は、レオナルド・ディカプリオ主演の「レヴェナント:蘇えりし者」が、主演男優賞を含む最多12部門にノミネートされています。
次点でノミネート数が多いのが、ジョージ・ミラ—監督の人気シリーズ「マッド・マックス 怒りのデス・ロード」で、作品賞などを含む10部門にノミネートされています。
他にも、日本でも公開前から「凄い!」と話題になっているミニシアター系作品「ルーム」がノミネートされていたり、今年は、圧倒的な作品や俳優さんがいるわけではないですが、どの作品、誰が獲るかわからないワクワクがあると思います。
日本からは、長編アニメ映画賞に「思い出のマーニー」がノミネートされています。
司会は、人気コメディアンのクリス・ロック。
授賞式は、2016年2月28日(日)ドルビーシアターにて行われます。
全てのノミネート作品を語ると、朝までかかってしまいそうですので、
今回は、作品賞にノミネートされた作品をご紹介していきます。
マネーショート 華麗なる大逆転
主演・ブラッド・ピット、共演にクリスチャン・ベール、スティーブ・カレル、ライアン・ゴズリングと豪華な競演で描く、アメリカ経済のリーマンショックの裏側で、“世紀の空売り”と呼ばれる大相場に賭けた4人の男達の真実に基づく痛快ノンフィクションムービーです。実際に、2005年のリーマンショックの場に立ち会っているかのようなハラハラドキドキの逆転劇に思わず手に汗握ってしまいます。本作は、アカデミー賞の作品賞、監督賞、助演男優賞、脚色賞、編集賞の5部門ノミネートされており、第88回アカデミー賞は、実話が賞を取りやすい傾向にあるので、受賞が期待されています。
タイトル:「マネーショート 華麗なる大逆転」
2016年3月4日(金)TOHOシネマズ日劇ほかにて全国ロードショー
配給:東和ピクチャーズ
公式サイト:http://www.moneyshort.jp/
ブリッジ・オブ・スパイ
主演・トム・ハンクス×脚本・コーエン兄弟×監督・S.スピルバーグで贈る真実の物語です。ストーリーは、1950〜60年代、アメリカと旧ソビエトの冷戦下で、互いにスパイや国際取引など緊迫した状況が続く中に起きたアメリカに捕まったソ連のスパイとソ連に捕まったアメリカ人スパイを交換するという任務に奔走する弁護士・ジェームズ・ドノヴァンの実話を基にした作品です。コーエン兄弟の作品らしく、シリアスな場面での、真面目にとった言動や行動が、クスリと笑えたりするのが、緊迫した空気の中でフッと力が抜けて、良い感じに仕上がっています。作中でドノヴァンが目にする、東ベルリンの作りかけの壁の様子や、当時のブルックリンの街並みなど、これから世の中はどうなっていくのだろうかという不安と混沌が、よく描かれていて、現代に通じるメッセージを感じられる作品となっています。本作は、第88回アカデミー賞の作品賞、助演男優賞、脚本賞、美術賞、録音賞、作曲賞の6部門ノミネートにされています。こちらも、実話ベースの、しかも、賞レースに強いコーエン兄弟の作品ですので、要チェックです。
タイトル:「ブリッジ・オブ・スパイ」
2016年1月8日(金)TOHOシネマズ スカラ座ほかにて全国ロードショー
配給:20世紀フォックス映画
公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/bridgeofspy/
ブルックリン(原題)
主演に「つぐない」「グランド・ブダペスト・ホテル」のシアーシャ・ローナン、共演にエモリー・コーエン、ジュリー・ウォルターズで贈る50年代のアイルランドからアメリカ・ブルックリンに移住する一人の女性の物語です。ローナン演じる少女エイリスは、仲の良い姉の勧めで、家族と離れ、一人、アメリカ・ブルックリンへ出稼ぎに出ることになります。ブルックリンで、同じ境遇の出稼ぎ少女たちと暮らし、デパートの店員として働きながら、大都会に戸惑いながらも必死に日々の生活を送ります。そんな時、ダンスパーティーで一人のイタリア系移民の男性と知り合い、恋に落ち、女性として成長していきますが、祖国アイルランドから悲報が届き、帰国しなければならなくなって・・・というストーリーです。映画「つぐない」の時は、若干13歳だったシアーシャ・ローナンが、20歳になり、祖国アイルランドとアメリカの文化の違いに翻弄されながらも、成長していく大人の女性を見事に表現したと絶賛されています。本作は、第88回アカデミー賞の作品賞、主演女優賞、脚色賞の3部門にノミネートされています。
タイトル:「ブルックリン(原題)」
2016年7月公開予定 日比谷シャンテシネマほかにて全国ロードショー
配給:20世紀フォックス映画
公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/brooklyn-movie/
マッドマックス 怒りのデス・ロード
本作は、1979年に発表された、メル・ギブソン主演の伝説的アクションシリーズのなんと30年ぶりとなる最新作です。主人公マックス役は、メル・ギブソンからトム・ハーディーに交代し、監督は、シリーズを生んだジョージ・ミラーがメガホンを取っています。荒廃した近未来を舞台に、家族を失い、荒野を彷徨うマックスが、砂漠を支配する独裁者から逃れようとする女性たちと手を組み、決死の逃避行を図る全編ノンストップのカーチェースアクション映画です。本作は、この手のミニシアター系作品では珍しくアメリカで数々の賞にノミネートされ、遂には、第73回ゴールデン・グローブ賞の作品賞を獲得。そして、なんと!第88回アカデミー賞では、作品賞、監督賞、撮影賞、美術賞他10部門にノミネートされています。日本でも、昨年の「マッドマックス」フィーバーぶりは凄まじく、観客の熱狂ぶり、満足度では、同年公開の「スター・ウォーズ」最新作に唯一対抗出来る作品だったのではないかという盛り上がりをみせた作品です。ですので、アカデミー賞に「マッドマックス 怒りのデス・ロード」がノミネートされているだけで、大興奮!このまま突っ走って、どの部門かで最優秀賞を獲って欲しい!と観客が、一番強く願っている作品が、本作だと思うのです。
タイトル:「マッドマックス 怒りのデス・ロード」
2015年6月20日(土)丸の内ピカデリーにて全国ロードショー
配給:ワーナー
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/madmaxfuryroad/
オデッセイ
主演・マット・デイモン×巨匠・リドリー・スコットで贈る火星サバイバルムービーです。火星での有人探査の最中、事故により火星に一人取り残されてしまった宇宙飛行士のマーク・ワトニーは、すべての状況が<生存不可能>を示す中、彼は類まれなる知恵と精神力、創意工夫を駆使して、4年後の救出まで生き延びる為の火星サバイバルを開始します。一方、地球でも、マークが生きているとわかり、彼を生還させるために、NASAの関係者全員が全力で救出にあたるというストーリーです。この映画の驚くべきところは、マット演じるマークのスーパーポジティブさ、毎日ユーモアを言う余裕が最後の日まで続くことと、彼の精神力の強さです。予告編で観られるように「サプラ〜イズ!」なんて、独りになったばかりでビデオに残せることが、既に凄いのですが、音楽を聴いてノリノリで踊ったり、一つ一つやらねばならない事をこなしていけば、道は開けると信じ、最後まで冷静に着実に行動するマットは、もう超カッコイイのです!まさに無人島に連れていきたい男!パーフェクトマンなのです。また、全体を通して、絶望より、明るい希望的な雰囲気を醸し出している作品ではありますが、広い火星の地を見つめるマークの後ろ姿や、表情に、強い孤独や恐怖、ストレスが感じ取れて、マット・デイモンのしっかりした演技に支えられている作品でもあります。本作は、第88回アカデミー賞の作品賞、主演男優賞、脚色賞他7部門ノミネートされています。個人的には、作品賞、主演男優賞でオスカーなるか?と期待している作品です。
タイトル:「オデッセイ」
2016年2月5日(金)TOHOシネマズ スカラ座にて全国ロードショー
配給:20世紀フォックス映画
公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/odyssey/
レヴェナント:蘇りし者
主演のレオナルド・ディカプリオが、映画「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」で昨年、オスカーを獲得したアレハンドロ・G・イリャリトゥ監督と初タッグを組んで、オスカーに王手を賭ける映画「レヴェナント:蘇りし者」。瀕死の重傷を負ったまま仲間に置き去りにされ、最愛の息子の命までも奪われた男の執念の復讐サバイバル劇です。映画の中で、レオ演じるヒュー・グラスは、凍った川に落ちたり、崖から突き落とされたり、バッファローの生の肝臓を食べたり、これらを、レオがノースタントでやっているんです。イリャリトゥ監督は、「今回の撮影では、リズム、タイミング、勢い、沈黙と膨大な量の要求をしたが、レオは力強い存在感で、全てをこなした」と絶賛しています。もう、このエピソードだけで、レオがオスカーに賭ける並々ならぬ思いが伝わってきますよね。ちなみに、本作の撮影を担当したエマニュエル・ルベツキも、去年一昨年とオスカーを撮影賞でオスカーを獲得しており、3冠がかかっている大本命といわれている方です。第88回アカデミー賞では、作品賞、主演男優賞を含め最多12部門でノミネートされている本作。レオは、一時期、アカデミーに無視され続け、俳優を辞めるとまで言ったことも。アカデミー賞に4℃ノミネートされながらも、未だ無冠のレオが、本作で、悲願のオスカー獲得なるか!?と大本命!大注目されている作品です。
タイトル:「レヴェナント:蘇りし者」
2016年4月22日(金)TOHOシネマズ日劇ほかにて全国ロードショー
配給:20世紀フォックス映画
公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/revenant/
ルーム
日本では、まだ未公開ながら、既に映画ファンの間で、「絶対観る!」と高い期待を寄せられている映画「ルーム」。主演のブリー・ラーソンは、日本ではまだそんなに有名ではない女優さんですが、アメリカでは、子役時代から着実にステップアップを続け、地に足のついた演技が出来る女優です。息子と共に、7年間、<部屋>に監禁されている主人公は、息子が5歳になった時、<部屋>しか知らない息子に本当の世界を見せるべく、<部屋>を脱出することを決意します。息の出来ないサスペンスフルな脱出劇、やっと外に出られて、これで幸せになれるのか?と思ったら、母子の運命はここからが本番で色々厳しいことがあり・・・というストーリーです。主人公を演じたブリー・ラーソンが、ノーメイクで、息子の為なら、なりふり構わない母親を力強く演じており、今年の主演女優賞の大本命と言われています。また、息子役の、ジェイコブ・トレンブレイくんが、めちゃめちゃ可愛くて!!初めて見る大きな空や世界に驚き、表情をクルクル変える姿は、ハリウッドのみながらず、日本でも、ファンが出来ること確実です!第88回アカデミー賞では、作品賞、監督賞、主演女優賞、脚色賞の4部門にノミネートされています。ブリー・ラーソン、主演女優賞のオスカーなるか!?こちらも大注目です!
タイトル:「ルーム」
2016年4月8日(金)TOHOシネマズ新宿ほかにて全国ロードショー
配給:ギャガ
公式サイト:http://gaga.ne.jp/room/
スポットライト 世紀のスクープ
映画「アベンジャーズ」シリーズのハルク役で有名なマーク・ラファロが主演を務めた映画「スポットライト 世紀のスクープ」。共演には、マイケル・キートン、レイチェル・マクアダムスほかです。本作は、2002年1月、アメリカの新聞「ボストン・グローブ」が報じた、数十人もの神父による児童への性的虐待を、協会が組織ぐるみで隠ぺいしてきた衝撃のスキャンダルを映画化したものです。自社の購読者の半数以上がカトリック信者で、自身も幼い頃には教会に通っていた経験を持つ<スポットライト>チームが立ち向かうカトリック教会。記者生命を懸けて真実を求める彼らの存在は、閉塞した現代で一筋の光となり、私たちの良心に訴えかけてきます。警察にも明かされていない事件を暴くというドラマ性と、真実のその先の真実を探るというミステリー要素と、これは実話なんだという迫力と緊張感のある作品です。第88回アカデミー賞では、作品賞、監督賞、助演男優賞含む6部門でノミネートされています。
タイトル:「スポットライト 世紀のスクープ」
2016年4月15日(金)TOHOシネマズ みゆき座ほかにて全国ロードショー
配給:ロングライド
公式サイト:http://www.spotlight-scoop.com/
いかがでしたか?
まだ日本未公開の作品、アカデミー賞にノミネートされたから、日本公開日が決まった作品もあります。
既に公開のものも含め、年に一度の映画の祭典・アカデミー賞を楽しみながら、どの作品を観るか決めるご参考になればと思います。
(文 / Yuri.O)