アカデミー賞4部門ノミネート!映画「リリーのすべて」のすべて見せます!魅力総まとめ!
2016年3月18日に第88回アカデミー賞4部門ノミネート、助演女優賞受賞の注目作品、映画「リリーのすべて」が劇場公開されました。
主演は、昨年、混戦と言われたアカデミー賞主演男優賞で、映画「博士と彼女のセオリー」で見事、最優秀主演男優賞を獲得したエディ・レッドメイン。共演には、映画「コードネームU.N.C.L.E.」でヒロインを演じたアリシア・ヴィキャンデル。アリシアは、本作で、アカデミー賞助演女優賞を初受賞しました。監督は、映画「英国王のスピーチ」「レ・ミゼラブル」のトム・フーパーです。
そして、描く物語は、80年以上前に世界で初めて性転換手術を受けたデンマークの女性、リリー・エルベの生涯を描いた真実の物語です。
繊細で情感豊かな、そして大胆でもある映画「リリーのすべて」の魅力を‘すべて’ご紹介します。
タイトル:「リリーのすべて」
2016年3月18日(金)TOHOシネマズ みゆき座ほかにて全国ロードショー
配給:東宝東和
公式サイト:http://lili-movie.jp/
世界で初めて性転換手術に挑戦した“リリー・エルベ”と映画のストーリー。
本作は、今から80年以上前に世界で初めて性転換手術に挑戦した女性・リリー・エルベの生涯を描いた実話に基づく物語です。リリーがリリーになる前は、デンマークで最も有名な画家のひとりと劇中で言われているくらいの有名な風景画家・アイナー・ヴェイナーとしてデンマークのコペンハーゲンで活躍し、ゲルダ・ヴェイナーという同じく画家(こちらは肖像画家)の伴侶にも恵まれ、二人で絵画を並べて描くなど、幸せな毎日を送っていました。
転機となったのは、妻・ゲルダの絵のモデルが遅れて来なかった為、夫であるアイナーに足の部分だけ仮のモデルを頼んだことでした。初めてのストッキングとレースがたくさんついたドレスに感じたことのない感情が沸き上がるアイナー。そんな夫を見て、「あなたはリリーね。」と、ゲルダは、面白半分に、女性の下着をつけて愛を交わしたり、本格的な女装を施したりし、それは二人の間の秘密のゲームとなっていきました。
ある日、パーティーに招かれたアイナーとゲルダは、リリーとして、本格的に女装をして、周囲を騙せるか試してみることにしました。歩き方から、立ち振る舞い、仕草まで、ゲルダと練習を重ね、迎えたパーティー当日。パーティー会場で、リリーは多くの男性から目を引かれ、ゲルダが芸術仲間と話している隙に、一人の男性と二人きりになりキスを交わしてしまいます。
ゲルダはショックを受け、アイナーは、「もう女装はしない。」と約束しますが、アイナーではなく、完全にリリーとして生きていた時間があることを否定することは出来ず、そこから急速に、リリーとして目覚めていきます。戸惑いながらも、ゲルダとアイナーは、リリーの存在を認め、リリーとして生きる道を模索し始めますが・・・というストーリーです。ラストは、ネタバレになってしまうので、書けませんが、リリー・エルベは、今でも、トランスジェンダーの方たちの勇気と力を与える存在として支持されています。そんな彼女と彼女を支えたゲルダの物語の結末は、是非劇場で!
トム・フーパー監督×エディ・レッドメインの強力タッグ再び!
エディ・レッドメインが、トム・フーパー監督の作品に出演したのは、映画「レ・ミゼラブル」で若き革命家を演じ美声を披露してくれた時が映画作品としては初めてです。しかし、それより前の、エディが22歳の時に、フーパー監督が演出を務めたテレビシリーズ「エリザベス1世 〜愛と陰謀の王宮」に出演したのを見て、監督は「イギリスの素晴らしい俳優を見つけた!」と思ったそうです。そして、「レ・ミゼラブル」をオファーし、「レ・ミゼラブル」の撮影中のバリケードの上で、何も知らされずに、監督から本作の台本を渡され、読んでみたら唯一無二の素晴らしいラブストーリーだったので、即OKしたそうです。エディは、素晴らしい台本に興奮を隠せず、「いつから!?いつからクランクインなの!?」と監督に聞いてしまい、「落ち着け。」と言われてしまったと本作のジャパンプレミアの際に語っていました。そんな、10年以上の長い付き合いになる二人の再タッグとあっては見逃せませんね。
オスカー俳優となったエディ・レッドメインの演技力の上昇が止まらない!
昨年2015年の第87回アカデミー賞最優秀主演男優賞を、映画「博士と彼女のセオリー」で初受賞し、若くしてオスカー俳優となったエディ・レッドメイン。実在の人物であるスティーブン・ホーキング博士を演じて、「え?本人?」と一瞬目を疑ってしまうほどの外見の完コピぶりも話題になりましたが、彼の魅力は、その繊細な演技と誰もが幸せになってしまうようなはにかみ笑顔だと思います。「博士と彼女のセオリー」も本作も、心身的に大変な役どころでしたが、映画の中で重苦しい展開になっても、彼の繊細な演技は光を放ち、はにかむ笑顔は、ぱっと周囲を明るくする力を持っているのです。しかも、「レ・ミゼラブル」で魅せてくれたように、歌まで歌えるとあっては、ある意味最強。毎年、オスカーノミネートしちゃう勢いですよね。本作でのエディも、アイナーである時とリリーである時と、その両方が混在して戸惑い、表情が別人格へ移り変わっていくという複雑な演技を、本当にリアルに見せてくれています。そして、憑依型俳優なのかな?と思うくらい、リリーが、本当に降臨してるんです。
エディは作品選びも上手くて、「レ・ミゼラブル」で注目されて以降、映画「マリリン 七日間の恋」や「HICK ルリ13歳の旅」などミニシアター系の作品で、実績を重ねる一方、映画「ジュピター」のような商業SF映画のような作品にも出演し、映画「博士と彼女のセオリー」でオスカーを獲得し、名実ともにトップ俳優の仲間入りを果たします。本作の後に控えている作品も、ハリー・ポッターシリーズの新シリーズとなる大作「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」で主演が決まっており、これで、日本でも顔と名前が一致する有名俳優になることが確実です。セルフ・プロデュースが非常に上手な俳優さんなのかも知れませんね。
第88回アカデミー賞助演女優賞受賞・アリシア・ヴィキャンデルの魅力に迫る!
日本でアリシア・ヴィキャンデルが知られたのは、2015年の映画「コードネームU.N.C.L.E.」のヒロイン役に抜擢されたことで、有名になりましたが、世界的にも、2015年「世界で最も美しい顔100人」でかなりのランクアップで27位にランクインするなど、美人さんとして有名なようです。ただ、演技の方は、「コードネームU.N.C.L.E.」では、コケティッシュで可愛らしい女の子という感じだったので、あまりわかりませんでした。そして、次の作品が、本作「リリーのすべて」です。リリーの妻・ゲルダという役どころは、主人公と同じくらい難しく、彼女次第では、映画がガタガタになってしまう役でした。しかし、アリシアは、ゲルダを、愛する夫と同志を失ってなお、愛を求め、与えようとする女性を、繊細に強く演じていました。しなやかで強い女性だけれども、流石に、一人で受け止めるには大き過ぎる出来事に、潰されないよう流されないよう、必死に踏ん張る姿に、こちらまで胸が潰されそうに切なくなりました。夫役を演じたエディ・レッドメインも、「忘れられない思い出が、アリシアとオーディションをして、舞踏会の翌朝のシーンを演じたのですが、監督からカットがかからず、ふと横をみるとアリシアが泣いていたんです。その瞬間、彼女がゲルダに決まりだと思いました。」と語っており、彼女のオスカー獲得を喜ぶとともに、演技面でも、信頼を寄せています。彼女の演技によって、映画「リリーのすべて」が、アイナーとリリーの物語だけではなく、ゲルダの物語でもあるものに変わったといます。2016年の第88回アカデミー賞助演女優賞も納得の素晴らしい演技です!
映画史に残る真実の愛の物語
本作の主人公・アイナー(後のリリー)と妻・ゲルダは、元々画家同士で、夫婦であると同時に、互いに切磋琢磨し尊敬し合う同志でもありました。しかし、夫婦のスキンシップ、新しいゲームの一環としてやり始めたアイナーの女装から、アイナーの中のリリーが目覚めたことで、夫婦の関係性は一変してしまいます。アイナーもゲルダも互いを愛しているけれど、リリーは女性なので、ゲルダの事は大切に想っているが、異性として愛することは出来ません。愛する夫が目の前で、苦しみ、消えていくのをただ見ていることしか出来ないゲルダ。自分はアイナーでなく、リリーだと気づいてもなお、ゲルダの為に、リリーを消そうと試みるアイナー。そして、それも限界になった時、リリーは、自分の中のアイナーと決別し、性転換手術を受けることを決意します。そのきっかけとなる医師の元に連れていったのは、ゲルダです。他のどんな医師に、アイナーが「精神倒錯者だ。」と言われても、「違う。」と、夫を見守り、支え続けたゲルダにとって、手術をしたら、もう二度と、夫に会う事は出来ません。前の前にいるのに、亡くなってしまったのと同じ。それでも、最愛の夫が、女性として生きたいと心から願うならばと、ゲルダは、全てを受け入れる覚悟をします。アイナーがリリーになってからもなお、リリーを支え続けるゲルダ。性別を超え、魂と魂で共鳴し合い、運命共同体であったリリーとゲルダ。二人の愛の結末に、涙でスクリーンが見えなくなること間違いなしです。
いかがでしたか?
リリー・エルベという人物については、細かく調べずに映画を観た方が、楽しめるかもしれません。
調べるのは、観た後をお勧めします。
巨匠・トム・フーパー監督とオスカー俳優2人が演じた映画「リリーのすべて」。
今年一番の(3月時点ですが)真実の愛の物語です。
既に絶賛公開中の映画ですので、お早目に劇場に足を運んでくださいね。
(文 / Yuri.O)