中村剛也の通算300号の価値は、本塁打の総数ではなく密度にある

2017年10月28日

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中村が300号&1000本安打&15号満塁本塁打、達成!

先日ついに西武の主砲、中村剛也が300号本塁打を通算1000本安打で達成しました。残念ながら西武は試合で敗れましたが、中村はプロ入り14年目にして300号というスラッガーの勲章を手にすることができました。

先日の中村に限らずプロ野球ではなにかと「通算○○○達成!」と選手の通算記録を祝うセレモニーがあり、つい先日もDeNA久保が通算1000奪三振を記録し、達成時に球場でセレモニーが行われたばかりです。今季はそれ以外にも中日、和田一浩の2000本安打を筆頭に、阪神、西岡剛の1000試合出場やロッテ、福浦和也と広島、新井貴浩の2000試合出場などもありました。

その数ある通算成績のセレモニーの中でも2000本安打だけはよく知られていますが、それ以外は一見しただけでは、それぞれの通算記録が一体どれだけ凄いのかと言われてもピンと来ません。

達成者で比較してみると、

  • 1000奪三振 143人
  • 2000試合出場 47人
  • 2000本安打 46人

それに対し300号本塁打は41名。そのうち現役選手は(中村紀洋を含めたとしても)6名います。そう考えると2000本安打だけが特別有名で、それ以外の通算記録は野球ファンにおいても印象は薄いですが、およそ「300本塁打」と「2000本安打」と「2000試合出場」は同じくらいの希少価値です。

ただし、筆者がここで書きたいのはただ「中村は2000本安打級の選手だ!」ということだけではなく、他のスラッガーと比較し何がすごいかというと、積み上げた本塁打の総数ではなくその密度です。

中村は高校野球の名門大阪桐蔭からプロ入り14年目、レギュラーに定着して8年目。そのうち規定打席到達した年は5回しかありませんが、その5回は必ず本塁打王に輝いています。5度の本塁打王は王貞治、野村克也に次ぐ3位タイの回数です。

その上300号本塁打まで、わずか3886打数で達成しており本塁打率は13.0そして通算1000安打中300本が本塁打という驚異的な数字を残しています。

通算300号は41人いれど、その中で本塁打率が中村より上位なのは王貞治、田淵幸一、アレックス・カブレラの3人しません。なおかつ中村は今年こそ3割近い高打率ですが通算では0.25程の低打率で三振も多く、ここからも徹底的に本塁打狙いの選手だということがわかると思います。

そしてさらに注目すべきは、中村は満塁本塁打の割合。中村が満塁本塁打の本数で王貞治に並ぶ歴代1位タイなのは報道されましたが、通算本塁打が王は868号なのに対し中村は301号と非常に満塁本塁打の割合が高いです。ここからも、中村のチャンス時における本塁打に対するこだわりをうかがい知ることができます。

しかし、稀代まれな本塁打王である中村ですが、プロ野球選手の勲章である2000本安打には手が届かないでしょう。他の2000本安打達成者が32歳ごろには1300から1400本くらいは打っていますが、32歳の中村はまだ1000本程度です。

年間安打数も今年は高打率のため、おそらく過去最高の150安打以上を記録できそうですが、レギュラーに定着した08年から昨年までの8年間の平均安打数ではちょうど100本。規定打数到達した5年間の平均でも120本程しか打っていません。

本塁打王は今年を含め、後2回くらい獲れるかもしれませんが、今のペースでヒットを打ち続けても、おそらく通算安打は1600~1700本くらいで、リタイアするのではないでしょうか。

中村は何故か2年間連続で規定打数到達し本塁打王になると、翌年1年は怪我でお休みというサイクルで現役をつづけていますが、年齢的にもこの先は怪我との戦いは更にきびしいものになるでしょう。

既に32歳ですが太っていて童顔で、そのうえニックネームは「おかわり君」本塁打王5回で年俸3億8000万円というよりも、どこか野球少年にいそうな愛されそうな風貌です。プロ野球選手の評価はどうしても2000本安打に固執しがちですが、中村は既に球史に名を刻んでいるといえます。