土木設計業務の電子化への移行

メールは1分で返しなさい!

CAD利用による変化

CADを本格的に利用するようになり、企業を取り巻く状況も大きく変化しました。まず、社内が整理されたことがあげられます。手書き時代は、A1判やB1判の大きな図面で作業していて、時には道路の平面図や縦断図などは長さが2m近くになることもありました。ということは、その図面が乗る机が必要なわけで、当然、社内にはそういう机が幾つかありましたし、個人の机も大きいものを使っていました。また、A1判やB1判の図面の原本を入れておくロッカーが必要でしたし、青焼きした図面を丸めて立てておくボックスみたいなものも必要でした。とにかく以前は社内が雑然としていましたね。

ところが現在は、パソコン1台とA3サイズが置けるスペースがあれば、何とか事足ります。図面ロッカーや図面入れは不用な物となりました。不用となった物の代わりに、パソコンは一人一台、事によっては二台、大型の印刷機、インターネット環境の整備、電子納品や電子入札への対応、ISOの所得と管理など様々な物が新たに出現しました。

電子化への移行がもたらすもの

以前は、図面を発注先に届ける場合は、A1判やB1判の図面をA4判程度に折りたたんだり、あるいはそのまま丸めて筒に入れ、宅急便やバイク便で送っていましたが、今はメールで一瞬のうちに送れます。また、ひとつ業務を遂行する場合は、必ず発注者との打ち合わせ協議が必要ですが、今はメールでやり取りしますので、打ち合わせに出向く回数も減り、その分の時間が有効に使えます。便利になったため、時間が出来たと勘違いされ、個人のノルマは増えたと思います。一人に任される業務の数は確実に増えたのではないでしょうか。メールで送る事が可能になったという事は、何時までに送って欲しいという要望も増えるという事です。仕事の電子化への移行に伴い、設計とは関係のないところで雑用も増えました。特に電子納品が当たり前となり、その準備には結構時間を取られます。便利になったとはいえ、若手が育っていなくて人材不足なことには変わりありませんので、土木技術者は相変わらず忙しい毎日を送っています。