教育格差はなぜ拡大するのか

新しい「教育格差」 (講談社現代新書)

日本の子供には、普通教育を受けさせることが義務付けられています。しかし、たんに学校に通わせているだけの子供より、放課後の習い事や塾通いなどをしている子供のほうが、学校でのパフォーマンスが良いという意見がみられます。こうした意見を踏まえていざ子供に習い事をさせようとしても、どうしても費用面で折り合いがつかない家庭があります。また、費用面で問題がなくても、時間的に子供の送り迎えが十分にできないなどの理由で、習い事や塾通いを希望通りにさせてやれない場合があります。こうした事情による差は、教育格差と呼ばれることがあります。そして、教育格差は年々拡大しているとの指摘がみられます。では、教育格差はなぜ拡大するのでしょうか。

まず、最初に教育格差が大きな話題となったのは、受験戦争が過熱した時です。大手の進学塾に高い授業料を払い、夜遅くまで長時間勉強させることによって、優秀な私立の進学校の合格を目指す家庭が多く出てきました。こうした中、子供をよりのびのびと育てたほうが良いといった意見や、とても高額の費用を払って塾に通わせられないといった声が生まれました。子供の特性に合わせて塾通いをさせるかどうかを決めるのは良いのですが、収入が足りずに優秀な子供を泣く泣く地元の公立に通わせる家庭も見られるようになりました。もちろん、地元の公立校に通ったからといって子供の能力が下がるわけではありませんが、優秀な人材ほど、活発な競争ができる環境下のほうがより高い能力を発揮できる可能性があります。

そして、受験ブームがピークアウトした後でも、教育格差は拡大していると考えられます。というのも、塾通いを含めてあらゆる習い事において、子供のペースに合わせてのんびりと進めることが重視されるようになってきたからです。子供のペースに合わせる、と聞けば親の熱意が入りすぎることが少なくなり、格差が縮小するように思えるかもしれません。しかし、現実としては子供1人1人に合わせた個別対応を行うことにより、子供にかかる費用が増加しています。そのため、塾通いをしている子の中でも、マンツーマン指導を受ける子と集団授業を受ける子との間で格差が生まれています。