中学入試試験を午後に実施する学校が増えてきている理由

中学入試案内〈2017〉

近年、中学入試において、午後に試験を実施する学校が増えてきています。

午後に試験を実施することによって、受験生は1日に2つの学校を受験することが可能になります。放課後に塾に通うなどして努力を重ねてきた成果として、第1志望校に合格できなかった場合でも、よりよい学校に合格したいものです。多くの受験機会を利用して、合格を勝ち取れる可能性を高める考え方には一理あります。

また、学校側としては、試験の実施回数を増やすことで、より優秀な生徒を確保しやすくなるメリットがあります。従来であれば、入試日程が重複することを理由に受験を見送っていた子供にも受験してもらうことで、優秀な生徒との接点が広がるからです。さらに、学校は受験料を徴収するため、受験機会を増やすことで、受験料収入を増やすことができます。私立の学校では、収益が拡大すれば学校の設備をよりよくすることなどに投資しやすくなり、子供や保護者にとっての魅力を高めることができます。受験料収入の増大は、間接的に将来の生徒確保につながります。

生徒、学校の双方にメリットがみられる午後入試ですが、安易に利用しすぎるのは考え物です。

まず、生徒側からすれば、1日に2校を受験することによって疲労がたまります。疲労が蓄積してパフォーマンスが低下した状態で受験をすると、受験回数が増えても合格可能性が下がってしまう可能性があります。特に、体力面で不安がある場合や、午前と午後で受験する学校の距離が遠く離れている場合などは、デメリットのほうが大きくならないように細心の注意を払う必要があります。

また、学校側も、受験料収入は拡大できても、無理をしてまで午後に受験した生徒が入学してきた際に、「この学校には来たくなかったのに...」という気持ちを持たれてしまう可能性があります。もちろん、入学当初は乗り気でなくても、学校生活を送るなかで前向きな気持ちになっていけばよいのですが、第1志望に合格できなかった落胆を引きずる生徒が増えることは懸念されます。