どのような地形が氷河の名残なのか
現在は、地球温暖化が大きな問題となっています。極地域の氷河が融解して動物の生活場所が狭まったり、海水面が上昇して標高の低い島々が水没の危機に瀕していたりしています。しかし、かつて世界が氷河期だった際には、現在では陸地となっているか所にも多くの氷河が存在しました。現在存在する氷河のイメージとしては、標高の高い山にある山岳氷河が有名ですが、かつては、現在では陸地となっているそれほど標高の高くない場所にも、大陸氷河が存在しました。この氷河が形成した地形が今でも残っています。では、どのような地形が氷河の名残なのでしょうか。
U字谷と呼ばれる地形が、氷河地形の代表例です。U字谷は、ノルウェー西岸などで見られます。氷河が陸地の斜面を削りとることで、急な谷が出来上がります。正面から見ると、アルファベットのUの形をしていることから、U字谷と名付けられています。
U字谷に海水が入ってくると、フィヨルドが形成されます。非常に美しい山岳地域の様子をフィヨルドから観察できることから、フィヨルドがある地域では観光産業が発達しやすくなります。波が非常に穏やかなので、天候に左右されにくい点もメリットです。
波が穏やかならば、漁港が発達するのではないかと考える人がいます。しかし、フィヨルド地域では、それほど多くの港が発達しているわけではありません。理由は大きく分けて2つあります。
まず、フィヨルドの入り口付近では、両側が急な崖に囲まれていることから、港を整備するのは難しいです。これが1つ目の理由です。2つ目の理由は、フィヨルドが奥深いことです。フィヨルドの入り口から最も奥までには長い距離があります。そのため、フィヨルドのもっとも奥まったところに港を整備すると、外洋に出るまでに長い時間がかかってしまいます。観光目的で通過するのであれば、距離が長いことは多くの景色を楽しめることを意味し、必ずしもマイナスではありませんが、漁港や貿易港として活用する際には、時間がかかることはマイナスに作用してしまいます。その結果、フィヨルドは波が穏やかなのにもかかわらず、それほど多くの港が整備されていないのです。