日本の河川の特徴
日本の河川は、世界の河川と比べて際立った特徴を持っています。では、日本の河川にはどのような特徴があり、どのような影響をもたらしているのでしょうか。
日本の河川の最大の特徴は、流れが急なことです。富山県を流れる常願寺川は、特に流れが急な川として知られています。日本では、国土の中央部分に山脈が多くみられ、そこから海に向かって短い直線距離で海抜ゼロメートルへと進んでいきます。したがって、どうしても流れが急な川が多くなります。
流れが急であることによって、日本では河川交通がほとんど発達していません。河川を利用してモノや人を運ぼうとしても、船が転覆してしまう可能性が高い地域が多いからです。また、流れが急すぎるので、河川を遡上することは極めて難しいです。その結果、ヨーロッパなどでは運河を経由しながら河川交通を利用できるのに対して、日本では河川交通がほとんど見られません。
河川交通が未発達なことは、どちらかといえばデメリットに当たりますが、流れが急なことにはメリットもあります。メリットとして指摘できるのは、水力発電を行いやすいことです。水力発電では、高低差を利用し、水の流れによって羽根車を回してエネルギーを取り出します。高低差が少ない河川では、得られる位置エネルギーが少ないことから、水力発電にはあまり期待できません。それに対して、流れが急な河川が多い日本では、水力発電を活用できるチャンスが多くあります。
水力発電所は、洪水を防止するダムとセットで建設することができます。ダムを建設して、災害の発生を未然に防ぐと同時に、発電時に温室効果ガスを発生させない水力発電を活用すれば、人にも環境にも優しい地域づくりにつながります。ダムは、洪水防止のみならず、水を蓄えておいて水不足に備える役割も果たします。日本の河川は流れが急であるがゆえに、せっかく雨が降っても、ゆっくりと海に向かって流れるのではなく、一気に水が海へ流れていってしまいます。降水の流出ペースを抑えることで、洪水防止と貯水の両面においてダムが役立ちます。