リアス海岸の特徴
岩手県や福井県などには、海岸線がギザギザになっている部分があります。日本のほかにも、スペイン北西部などにこうしたギザギザの海岸線がみられます。このギザギザの正体は、リアス海岸と呼ばれる地形です。では、リアス海岸とはどのような特徴を持った地形なのでしょうか。
リアス海岸は、陸地が沈降し、谷に海水が流入することによって形成されます。
リアス海岸では、入り江の奥まったところが、波が穏やかな天然の良港として発達しやすいです。実際、リアス海岸がみられる東北地方の太平洋側では、多くの漁港が発達しました。リアス海岸は、漁業の発達と密接に関連しているのです。また、山が港の近くに迫っていることから、風光明媚な景観が形成されることが多いです。そのため、観光資源としても優れた土地になることがあります。
ただし、リアス海岸では、奥に入れば入るほど幅が狭くなる特徴が、大きな災害をもたらすことがあります。地震に伴って津波が襲ってきた際、リアス海岸の奥まった部分では、波がどんどん高くなる傾向があります。したがって、災害には十分すぎるくらいの備えをしておく必要があります。
リアス海岸という名称は、スペイン北西部に見られる海岸の名前に由来します。スペイン北西部には、リアス場蓮海岸と呼ばれる海岸があります。この海岸が、陸地の沈降によってギザギザの形になっています。ここから、この形に近い海岸をリアス海岸と呼ぶようになったのです。現在ではリアス海岸という名称が多く用いられていますが、かつてはリアス「式」海岸という名称も頻繁に目にしました。いずれも同じ海岸を表しています。
リアス海岸のような自然地形は、人間が意図的に作ることは難しいです。そのため、自然環境を保護しながら、うまく活用していくことが必要です。漁港などとして利用し続けることができれば非常に便利な地形なので、デメリットを人間の力でできるだけ小さく抑えつつ、自然の与えてくれるメリットを享受しましょう。