なぜ学ぶ機会が無いのだろうか 学校とジェンダー セクシュアルマイノリティ編3

セクシュアル・マイノリティQ&A

教育現場で認識されたのは近年

ではなぜセクシュアルマイノリティは自分たちのセクシュアリティを学ぶ機会はないのでしょうか。

すでに書きましたが、文部科学省では去年4月、全国の教育委員会に、生徒も含め学校全体として性的マイノリティーの子どもたちを理解し、配慮することを求める通知を出しています。
一方、こうした国の方針について、NHKの「おはよう日本」の特集の中で、教職員にもどう受け止めているのかという調査の結果が紹介されていました。

教職員の側からは「生徒に教える前に、そもそも自分が性的マイノリティーについて分かっていない」「どう教えていいか分からない」「教師の間でも意見が分かれる」といった不安や戸惑いの声もあがっていました。
セクシュアルマイノリティは古来から存在しますが、近代・現代の日本でその存在や理解が広まったのはここ最近だと言えるでしょう。1993年にWHOが「同性愛は病気ではない」としました。また今は同性同士の結婚やパートナーの関係を保障している国であっても同性同士とりわけ男性同士の性行為を近年(数十年前など様々)まで刑法で禁止していたこともあります。

2003年に性同一性障害の性別の取扱いの特例に関する法律が成立しました。学校関連としては性同一性障害の児童・生徒の存在が明らかになってきたことを受け2010年に文部科学省が全国の学校に対して「児童生徒が抱える問題に対しての教育相談の徹底について」という通知を出しました。いじめ防止対策推進法が2013年に成立したことを受け、文部科学省も2013年に全国の学校を対象に「学校における性同一性障害に係る対応に関する状況調査」を行いました。全国で606例の対応事例のうち該当児童生徒に特別の配慮をしている事例が約6割でしかないことが報告されました。これらやその他法律や社会の動向を受ける形で2015年に文部科学省により「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細やかな対応の実施等について」という通知が出されました。この2015年の通知に性同一性障害だけでなく同性愛など他のセクシュアルマイノリティも配慮の対象と明記されました。(ちなみに、ドラマ「金八先生」で上戸彩さんが性同一性障害の生徒を演じたのは2001年です。)

教育の場ではセクシュアルマイノリティが注目され配慮の対象となったのはまだまだ最近のことなのです。このように様々な年代の方がいらっしゃる先生方が育った時代では、セクシュアルマイノリティへの存在や知識が広まっておらず、セクシュアルマイノリティがいないことが当たり前、という環境にありました。さらに教員養成課程でもセクシュアルマイノリティを学ぶことはまだまだ稀有なことでしょう。そう考えるとセクシュアルマイノリティの存在や肯定的な指導と言われると、初めは拒否感があるのは、(是非はともかくとして)ある意味自然なことなのかもしれません。

現在でさえ、セクシュアルマイノリティが人権問題だと言われて久しくなく、更にまだまだ差別的な言動する大人も子どもも存在するのは事実でしょう。

セクシュアルマイノリティが先生方にセクシュアルマイノリティを学ぶ機会や環境がなかったことや、多忙であり授業時間にも制限がある、そもそも知識を付けようとしても時間が確保できないことなど様々な理由が考えられます。けれども学校生活は多くのセクシュアルマイノリティにとってつらい体験が多くあります。生徒・児童のその後の人格や将来に大きく影響を与えることを考えれば、先生方にはぜひとも肯定的に受け止めてあげてほしいです。