丘陵地形で住宅開発がされる理由

新 多摩丘陵自然ふれあい散歩道 : 多摩市文化振興財団 : 本 : アマゾン

新たに住宅を開発する場合、平地に開発すると、掘削の手間が少なくて済むので、コスト面でも、環境への配慮の面でも望ましいです。ところが、平地には既に多くの宅地が開発されていることや、日本が山地の多い国土であることから、平地以外の部分で宅地開発を行わなければならない場合が多くあります。

平地以外で宅地開発されることが多いのが、丘陵地形です。丘陵地形に宅地が開発されるのには、いくつかの理由があります。

1つ目の理由は、日当たりが良好だからです。もちろん、丘陵の北側ではあまり日が当たらない部分もありますが、丘陵の南側を中心に、日当たりの良い地域が多くあります。丘陵地形で、多くの日射を必要とするミカン畑が多くみられることも、丘陵地形の日当たりの良さを示しています。「日照権」という権利があることからもわかるように、住宅を立てるにあたっては、できるだけ日当たりの良い土地を選びたいものです。そこで、開発事業者側も、日当たり良好な丘陵地形を選択する傾向があります。

また、丘陵地形では、ふもとに当たる平地部分に商業施設や鉄道駅などがすでに開発されているケースが多いです。そのため、丘陵地形から平地部分への道路整備を行い、バス路線の開設などができれば、通勤・通学のほか、生活における利便性も確保しやすいです。平地の人口密集地域は地価が高く、なかなか買えないと思っている若年ファミリー層などでも、丘陵地に住宅を購入し、通勤・通学するというライフスタイルが可能になります。

さらに、若年ファミリー層に関して言えば、丘陵地形では豊かな自然を残しやすく、空気もきれいになりやすいです。したがって、小さな子供がいる場合でも、健康的な生活を送ることができます。丘陵地から見下ろす景色が素晴らしいこともあり、静かで落ち着いた環境を楽しむことができます。

このように、丘陵地の宅地は、平地の宅地にはないメリットも備えているほか、利便性などの点での出メリットも克服可能です。そのため、丘陵地での宅地開発が多くみられると考えられます。