扇状地はどのような場所に形成され、どのように利用されているのか
河川が形成する地形の1つに、扇状地があります。扇状地とは、その名の通り、扇形をした地形です。では、扇状地はどのような場所に形成され、どのように利用されているのでしょうか。
まず、扇状地が形成されるのは、河川の上流部から中流部の間あたりです。より具体的には、山間部を流れていた河川が平野部に出てくるところで扇状地が形成されることが多いです。なぜなら、平野部は山間部と比べると高低差が少なく、河川の流れが緩やかになるからです。流れるスピードが遅くなると、砂礫の運搬力が低下します。その結果、河川の運搬力が低下する、山間部から平野部へと移行するあたりで、比較的大きめの砂礫が堆積し、扇状地を形成します。
扇状地は、最も山に近い、扇形の中心にあたる部分を扇頂、逆に、最も山から離れた、扇形の弧のあたりを扇端といいます。そして、扇頂と扇端の間の部分を扇央といいます。
扇央部では、河川は土地の表面に現れずに伏流します。したがって、扇央部では水が得にくいといえます。その結果、扇央部では水はけが良い地形になっており、果樹の栽培などに適しています。山から少し離れた平野部であることから、日当たりが良好なことも、果樹園が発達する要因です。
逆に、扇端部では、伏流していた河川が再び地表に現れることから、水が得やすいです。したがって、水を多く必要とする水田が広がることが多くあります。さらに、扇端部では、宅地が広がることもあります。かつては生活用水を得るのにも一苦労だったことから、水が得やすい扇端地域は、住宅の立地条件としても良かったと考えられます。
扇頂部は、面積が狭いこともあってあまり積極的な土地利用がなされていない場合が多くみられますが、河川が伏流していないうちは水が得られることから、水田や住宅が分布していることもあります。
このように、一口に扇状地といっても、水の得やすさによって土地利用が異なっています。地形について考える際には、どのような土地利用かも踏まえておきましょう。