カルスト地形とは?どんな種類があるのか

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カルスト地形とは、石灰岩が溶けることによってできる地形です。ヨーロッパの国であるスロベニアに、「カルスト地方」と呼ばれる地域があり、この地域で多くみられる地形であることから、「カルスト地形」という名前が付けられました。日本にも、山口県の秋吉台などでカルスト地形を見ることができます。

カルスト地形といっても、いくつかの種類があります。

まず、秋吉台に見られる秋芳洞のように、地下に洞窟ができたものを鍾乳洞といいます。石灰岩が溶食されることによって形成される地形です。ちなみに、溶食とは、雨水などによって石灰岩が溶解することを指します。雨水には酸性の物質が含まれているため、石灰岩を溶かすはたらきをします。

鍾乳洞と並んで秋吉台で見られるのが、ドリーネ、ウバーレ、ポリエと呼ばれる凹地です。これらの凹地は、規模が小さいとドリーネ、中程度だとウバーレ、大規模だとポリエと呼ばれます。最初に溶食が行われた段階ではドリーネであったものが、溶食が進むことによって合体し、ウバーレ、ポリエへと発達していきます。

中国では、タワーカルストと呼ばれるカルスト地形がみられます。タワーカルストは、ポリエがさらに発達した地形と考えることができます。タワーカルストは、石灰岩の溶食が進み、一部の場所では石灰岩質が完全に溶けきってしまうことによって形成されます。石灰岩のうち、溶けずに残った部分がタワーのような形状となり、タワーカルストと呼ばれます。

このように、カルスト地形は溶食の進行状況に応じてさまざまな種類があります。日本でも様々な種類のカルスト地形を目にすることができます。天然資源の自給率が低く、資源を輸入に依存している日本ですが、石灰石の自給率はほぼ100%となっています。このことは、日本に石灰岩が豊富にあることを意味しており、カルスト地形が形成される条件が整っているといえます。カルスト地形がある地域の近くに行く機会があれば、普段はあまり目にしないカルスト地形を楽しんでみてはいかがでしょうか。