新興住宅地に多い地形と地名

新興住宅地の連帯論―鎌倉・城廻自治会長体験記 : 菅原 幸助 : 本 : Amazon

地名には、地形にちなんだものが多くあります。今回はそうした地名の中でも、新興住宅地に多い地名を取り上げます。

新興住宅地の開発に当たっては、駅に近い平野部から開発が進められます。しかし、駅ができていることは、すでに周辺に一定数以上の住民が居住していることを意味しています。また、駅周辺には、商業施設や事務所なども多数立地します。したがって、駅の徒歩圏内で新興住宅地を開発するのはすぐに難しくなってきます。

こうなると、駅からやや離れた丘陵地での宅地開発が進み始めます。丘陵地での宅地開発は、駅からの距離は離れてはいるものの、急峻な地形が少ないことからスムーズに進めやすいです。丘陵地形を生かした日当たりの良い明るい住宅地を形成することが可能です。また、素晴らしい眺望の丘陵地では、景色の良さも住宅地の売りとしてアピールすることができます。こうした丘陵地に開発された住宅地では、「○○丘」というように、「丘」が付けられた地名が多くみられます。

丘陵地域での開発余力がなくなってくると、皿に駅から離れたエリアへと開発が進みます。こうなると山がちな地形の部分が多くなってくるため、山を削って台地を形成する必要があります。こうして形成される住宅地は、「○○台」というように「台」がついた地名を持つところが多くあります。

こうした地名を踏まえて考えると、地名がわかれば開発の時期がある程度推測できることになります。「○○丘」には高度経済成長期から安定成長期に入るくらいの時期に形成された住宅地が多く含まれます。その一方で、「○○台」にはバブル崩壊前後の時期以降に形成された新興住宅地が多くあります。もちろん、これらの区分はあくまでも目安に過ぎず、新しめの「○○丘」や古めの「○○台」も存在します。ただ、知らない地域の地名を耳にした際に「丘」や「台」がついていれば、その住宅地が形成された年代を推測してみることができます。