給付型奨学金のメリット・デメリット

大学進学のための全国

従来、奨学金といえば借りるイメージが強く持たれていました。返さなくてよいのは教師になった人や、特待生待遇を受けられるくらい優秀な成績を収める人などに限られていたからです。しかし、現在では給付型奨学金が徐々に増加してきています。家庭の所得が低いがゆえに十分な学歴が得られない子供の存在が、社会問題となりつつあるからです。また、貸与型の奨学金を借りて大学まで卒業したものの、その後の就職難などによって返済ができなくなるケースも多く指摘されています。奨学金の返済が滞れば、新たな奨学金の貸し出しが困難になりかねません。また、せっかく奨学金を受け取って学校を卒業したにもかかわらず、返済に追われているようでは、奨学金が充実した人生を送る助けになったとは言い難い状況です。そこで、給付型奨学金の拡充が検討されているわけですが、給付型にも長短両面があります。それぞれのポイントを把握しておきましょう。

まず、給付型の最大のメリットはやはり返済の必要がないことです。返済しなくてよいのならば、向学心さえあれば大学まで進学しようという意欲が高まるのではないでしょうか。現在のように奨学金の返済地獄にはまっている人が多いことが報じられると、仮に奨学金が借り入れられる所得水準と学力があっても、将来の返済の苦労を考え、進学を断念する中高生がいてもおかしくありません。給付型奨学金を拡充することで、所得にかかわらず大学へ進学することができるようになれば、優秀な人材の発掘にもつながります。

いっぽう、給付型が増加すれば、安易に奨学金をもらおうとする人が増える可能性があります。成績や所得だけから判断していると、本来は奨学金の必要性が高くない(≒それほど高い教育を受けることを希望していない)人まで奨学金をもらってしまう可能性があります。半額給付・半額貸与にするなど、奨学生の負担を減らしつつ、無駄な給付を行わずに済むための工夫が求められるのではないでしょうか。