オンライン授業は学力向上につながるか
インターネットの普及が進む中、教育も対面に限らず、オンラインで行う動きが見られます。具体的には、オンラインチャットを用いた個別指導が、塾チェーンなどで取り入れられています。ただ、教育は相手の表情を読み取りながら行うことが必要です。そのため、オンラインで十分なコミュニケーションが取れるのかどうかは疑問です。そこで、オンライン授業が学力向上につながるのかを考えます。
まず、従来型の対面個別指導や家庭教師を、オンライン授業で完全に代替することは不可能だといえます。というのは、現在子供たちが受けるテストのほとんどが、紙に鉛筆などで解答を記入する方式です。デバイスの画面に講師が書いた内容を表示させながら授業を行ったとしても、紙媒体に記入するのとは一味違います。例えば、図を描くのであれば、オンラインデバイスに描くのと、紙に鉛筆で描くのとでは大きく作業が異なります。こうした差異を埋めることは現時点では困難なため、オンライン授業で学習を完結させることは難しいといえます。
しかし、オンライン授業を対面授業のフォローとして活用すれば、効率的な学力向上に役立つ可能性があります。例えば、従来型の個別指導塾では、生徒側が通塾する必要があります。塾が豊富な都市部に住んでいる生徒は問題ありませんが、山間部などでは塾通いにかかる時間が軽視できません。生徒側の通塾時間をなくす方法としては家庭教師を呼ぶという選択肢がありますが、地方部ではなかなか適性のある家庭教師を見つけることは難しいといえます。こうしたケースでは、都市部など遠隔地の教師とオンライン授業をすることで、効率的な学力向上ができる可能性があります。というのも、共通の教材を講師側と生徒側が準備するなどの工夫をすれば、ある程度の品質で学習指導を行えるからです。講師側としても自宅(個人講師の場合)やオフィス(塾などの講師の場合)などから指導できるので、わざわざ各家庭を訪問する手間が省けるメリットがあります。効率よい学力アップには、オンラインの有効活用を検討してみるのが一案ですね。