火山によって形成される地形の種類

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日本は太平洋プレート、フィリピン海プレート、北アメリカプレート、ユーラシアプレートの4つのプレートの境界線上に位置しています。そのため、日本では火山の噴火が多くみられます。火山の噴火によって農作物や人家などに大きな被害が出ることもある一方で、マグマの熱によって地熱発電ができたり、温泉が観光資源として活用できたりといったメリットがあります。さらに、火山の噴火によって独特の地形が形成される場合もあります。では、具体的にどのような火山地形があるのでしょうか。

まず、火山の噴火口が大きいケースでは、カルデラと呼ばれる窪地が形成されることがあります。山頂部分が噴火の圧力によって吹きとび、噴火が収まった後は逆に河口付近がくぼんだ地形が形成されるのです。カルデラ部分は窪地になっていることから水がたまりやすいです。水がたまるとカルデラ湖と呼ばれる湖が形成される場合があります。日本では、熊本県の阿蘇山などでカルデラがみられます。カルデラはすべての火山に見られるわけではありません。したがって、カルデラ自体が貴重な自然地形となっており、カルデラを見学する観光ツアーなどを企画することができます。

このほかには、降り積もった火山灰が台地を形成する場合があります。火山灰が降り積もってできた台地としては、鹿児島県のシラス台地が挙げられます。鹿児島県には桜島という火山があり、何度も噴火を繰り返しています。桜島は噴火によって半島と陸続きになったことから、大規模な噴火が起こったことがわかります。桜島の噴火によって生まれた火山灰が堆積して形成されたシラス台地は、栄養素に乏しく、水もちが悪い土地となっています。したがって、多くの農作物にとっては生育が難しい環境です。そこで、鹿児島県ではやせた土地でも生育しやすいサツマイモを多く生産しています。観光産業やエネルギー産業だけではなく、火山灰が降り積もった土地も有効活用していることがわかります。