部活動は教育の一環か?

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教員がクラブ活動の監督を行う業務などで疲弊していることが問題となっています。そこで、クラブ活動の日数を減らすことが検討されている学校が少なくありません。しかし、生徒の中にはクラブ活動に熱心に打ち込むことによって、強い精神力が養われるなど、教育的観点から見てプラスの成果を上げる者もいます。こうした点を踏まえると、部活動は教育の一環といえるのでしょうか。

まず、クラブ活動は全員参加ではありません。そのため、通常の強化学習と完全に同一視することはできません。一部の学校では生徒全員が何らかのクラブ活動に所属することを求めてはいますが、クラブ活動に所属しないからといって、成績に影響しないことを考えると、強化学習との違いがわかります。全員参加ではない以上、教育の一環とみなすことにはやや無理があるのではないでしょうか。

ただし、部活動の充実が教育成果を上げているとは言えます。チームスポーツであれば、協調性が養われるほか、切磋琢磨する意識を高めることにもつながります。また、個人の技術を磨くことにおいても、自己研鑽の姿勢が身に着けばのちのちの勉学や社会での活動にも役立ちます。そのため、学校が生徒に部活動の場を提供することは有意義です。

現在、教員の負担を減らすために部活動の頻度を下げることを検討している学校がありますが、生徒たちに教育成果を得る機会をできるだけ多く与えるためにも、部活動は充実した状態であり続けるべきだと考えます。もちろん、教員の負担を減らすことも大切です。部活動における指導品質が低下することや、部活動の指導に熱を入れるあまり、担任指導や教科指導の準備が不十分になることを避けるためです。そこで、補助教員の積極活用を期待します。具体的には、理科実験補助員と同じような形式で部活動の補助員を雇う費用を予算化したり、非常勤職員の活用で、正規教員の部活動以外の業務の負担軽減に努めたりといった取り組みがなされればと思います。