ファミコンソフト体験記「天地を喰らう」多勢に無勢のリアリティ
今回紹介する作品はこちら、「天地を喰らう」です。この作品は本宮ひろ志さんが描いた漫画を原作として作られたRPGです。原作の漫画のほうでは天界やら魔界やらとファンタジーな世界観のもとで三国志の人物たちが描かれていますが、この作品は比較的史実に沿った話になっています。本宮ひろ志さんのファンも、三国志ファンも、ファミコン・RPGのファンも楽しめる名作です。
さて、そのストーリーですが、主人公の劉備があの有名な桃園の誓いを行ったところから物語が始まります。桃園の誓いを立てた3人の漢たちが、まずは黄巾族討伐に向かいます。討伐後には漢の皇帝から言い渡され各地を駆け回ります。最終的には自分の国を持ち、他国である魏や呉を倒し、漢の国を平定するといった話です。
主人公が劉備となっているため、最終的には蜀の国の話になるのが特徴的です。魏や呉のファンの皆さんには心地、複雑なところがあるかもしれませんね。
では、ゲームシステムはどうでしょうか。本作品はRPGとなっており、戦闘に勝利することで得られる経験値により、キャラが強くなっていきます。ゲームシステムを紹介するうえではこのような記述で問題なさそうですが、設定まで読み解くと、少し印象が変わります。
他のRPGではHPと呼ばれる体力値がキャラクターを動かすうえで重要になりますが、このHPの意味が他のRPGとは異なります。本作品ではHP=兵士数なのです。つまりHPが0ということは武将も含め、軍が全滅したことを意味します。
またHPが多い=兵士が多いとなるため、HPが多い=相手の軍団の兵士数を多く減らすことができる=ダメージ大ということになります。だいたいのRPGではHPの多い少ないはダメージに影響は出ませんが、本作品は影響が出るため、HPのコントロールの仕方も重要な戦術となることも本作品の特徴です。
さらには兵糧という数値的概念があり、フィールドを移動するごとに減っていく、まさにご飯を食べれば食料が減る概念について、このゲームではすでに踏襲していたのです。
ファミコン時代の作品としては非常に細かく、繊細にかつリアリティにバランスを取った作品であると言えます。
まだ未プレイの方、これは遊ぶ価値◎です!