受験は子供を苦しめる?

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受験をさせるのはかわいそう、という声を耳にすることがあります。特に、小学生に夜遅くまで塾通いをさせる中学受験は、子供の教育にとってよろしくない、との意見が根強くみられます。では、受験は子供を苦しめるのでしょうか。ここでは中学受験に絞って論じてみたいと思います。

受験が子供にとって苦しいかどうか、体力的な観点からすれば、苦しいと思います。小5、小6程度の子どもが睡眠時間7時間以下になってくると、昼間も眠気を感じてしまうことが十分考えられるからです。塾から帰宅するのが夜10時を過ぎてしまえば、学校の宿題等に取り組む時間も考えると、朝7時起床でも睡眠時間は7時間程度になってしまいます。

いっぽう、精神的な観点では、学校の友達と放課後に遊ぶ時間が少なくなったり、親と触れ合う機会が減少したりといったデメリットこそあるものの、塾という場で学校とは異なる友人と知り合えるチャンスが生まれるなど、メリットも見られます。子供に様々な人間関係を経験させることは、将来的にも役立ちます。

また、精神面で子供が不安定になるリスクを下げたければ、複数の人間で見守ることが大切です。両親がともに子供の教育に積極的にかかわるほか、家庭教師を適宜利用するなどして、子供のストレスをうまく発散させてあげるようにしましょう。子供が受験で苦しむかどうかは、本人の能力の面もありますが、塾通いをしていても楽しそうにしている子供も少なくありません。塾通いや長時間の勉強自体が子供を苦しめているのではなく、目標へのプロセスの見えなさや不十分なサポートといった要因が子供を不安に陥れ、強いストレスとなってしまいます。受験においては苦労をする面もあるのは当然ですが、厳しさを乗り越えた先には幸福があります。このことを理解させつつ、まだまだ十分な忍耐力が育っているとは言い難い子供たちに対して周囲が丁寧なサポートをしてあげることが苦しみを減らし、楽しみに代えてあげるのに役立つのではないでしょうか。