子供の自殺を防ぐための方策とは?

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子供の自殺が増えてきているように感じます。いじめや体罰など、抱えていた事情は様々ですが、いずれの子供も精神的に追い詰められてしまったことは事実です。そこで、精神面から、子供の自殺を防ぐ方策について考えてみたいと思います。

まず、子供の自殺につながることが多いのが、学校や部活動における人間関係です。子供は基本的に学校に通うものと考えられています。もちろん小学校や中学校は義務教育ですから、学校に通って教育を受ける子供が多いのは当然と言えるでしょう。しかし、「教育を受ける権利」や「教育を受けさせる義務」はあっても、「教育を受ける義務」はありません。そのため、厳しい人間関係に追い込まれた子供については、学校に通わないという選択肢があることを、明確に知らせることが有効ではないでしょうか。

自殺を考えたときに、電話で相談したり、学校以外の施設に行ったりという選択肢は子供たちの間でも比較的よく知られているようですが、そもそも学校に通わない、やめてしまうといった選択肢が、小中学生にはあまり浮かんでいないように感じます。こうした選択肢があることを積極的にPRすれば、自殺という最悪の事態は防ぎやすくなるのではないかと思います。

そのためには、社会の理解が必要になります。年少の子供を平日の昼間に見かけると、「学校をさぼっているのではないか」との世間の厳しい目が向けられる傾向があるからです。確かに学校が面倒だ、などと言うわがままともいえる理由で学校に通わない子供も少なからずいるため、こうした社会からの視線が生じるのも無理はありません。しかし、学校に通っていないからと言ってダメな人間とは言えません。社会全体が、もう少し子供たちを温かく見守る姿勢を持つことで、学校に通う責任感と、学校に通うことによる苦しみとの間で悶えている子供たちを、自殺から救うことができるのではないでしょうか。いじめや体罰の根絶はなかなか難しいものですが、身近な意識改革によって最悪の事態を避けられる体制を作っていきたいものです。