教員による事件続発とその背景を探る
最近、教員による事件が多いと感じます。自身が指導する生徒に対する暴力や性犯罪のほか、同僚や、見ず知らずの人に対する犯罪も見受けられます。教員による事件は、本来子供たちの模範となるべき存在が起こしているだけに、注目度が高くなりがちです。ただ、そもそも件数が多すぎるように感じます。なぜ教員による事件が多いのでしょうか。
まず、教員に対する負担が大きくなっていることが挙げられます。部活動の指導等のために、平日の放課後や休日の勤務時間が長くなっているようです。すでにこうした問題への対策は進められてはいるものの、急激に教員数を増やすことも難しく、かといって部活動の日数を急に減らすことも教育上望ましくありません。そのため、過度なストレスを抱える教員が増加していると考えられます。
教員のストレスについては、保護者からの要望が厳しくなってきていることも挙げられます。少子化が進むにつれて、保護者が子供1人にかける期待が高まっています。学校だけではなく、塾に対する期待も高まっているようです。本来であれば、高い期待に応えるべく教育現場が努力を重ねるべきです。しかし、時としてかなり無理のある期待(要求)が保護者から出されることもあるようです。
こうした過度なストレスが原因で、正常な判断力を失ってしまう教員がいるようです。資質としてどうなのか、という声もあるでしょう。しかし、罪を犯した教員についての評判を聞くと、面倒見がよく、勤務態度も真面目、といった高評価が聞かれることもあります。そのため、教員を取り巻く環境に対しても一定の配慮をすべきだと考えます。
教員は子供たちと接するときに、すべて本音を語れるわけではありません。教育的見地に立って、ある程度理想とする大人像を演じる必要が出てきます。勤務時間の大部分を占める子供への直接指導の間、自分をありのままにさらけ出せないがゆえに、ストレスがたまりやすい職業だとも言えます。教員はこうした傾向があることを自覚し、自ら適切な趣味の時間を設けるなどの工夫をして、犯罪者にならない努力をすべきでしょう。