センター試験に記述問題を加えるメリット・デメリット

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大学入試センター試験の改革が進められています。改革の目玉の1つが、記述問題の導入です。そこで、センター試験に記述問題を加えるメリットとデメリットを考えてみましょう。

まず、メリットとしては多様な学力を測りやすくなることが挙げられます。従来のマークシート方式では、理解しているかどうかにかかわらず、マークした番号が正しければ得点が認められていました。そのため、実力がやや不正確な形で得点に現れるリスクがありました、記述問題であれば、カンで正解する確率はかなり下がります。また、マークミスにより実力のある受験生が大幅に失点する可能性も低くなりそうです。結果的に、正しい学力を反映しやすいテストになると考えられます。

いっぽう、記述問題を加えると、採点が煩雑になります。マークシート方式の場合は機械で自動的に採点が可能でした。そのため、センター試験が終わってから二次試験までの期間中に採点・集計が可能でした。もし記述式問題を取り入れつつ同程度の採点スピードを求めるのであれば、採点に多くの人材が必要になることは必至です。また、採点に主観が入り込むことも考えられます。

このほか、二次試験で記述式問題を出題している大学では、二次試験の意味合いが薄れることも考えられます。一部の大学・学部では、マークシート方式では測定できない学力を見るために、二次試験で記述問題を課しているからです。もっとも、この点では二次試験を省略するセンター利用入試を導入する学校がさらに増える可能性があり、メリットも指摘できますね。二次試験は受験生にも大学側にも多大な負担が発生します。この負担を減らすことができれば、より効率よく優秀な学生を選抜できることになりそうです。

センター試験は、大学進学を目指す高校生にとって大きなイベントです。そのため、できるだけ早期に、記述問題を取り入れるのか、どのような形式で出題するのかについて決定し、周知がなされることを期待しています。