「考える力」を測るテストが増えれば塾はどうなる?

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近年、様々なテストで「考える力」を見るようになりました。丸暗記やパターン演習だけでは解けない問題を出題し、子供の能力をより詳細に把握することが目的のようです。テストの傾向が変われば、テスト対策を行う塾などでの指導にも変化が生じるはずです。これまでの型にはまったテストへの対策で定評のあった塾にとっては危機的な状況ですね。さらに考える力を測るテストが増え続ければ、塾はどうなるのでしょうか。

まず、カリキュラムを大幅に見直す必要が出てきそうです。単に講義形式で知識を詰め込むだけではなく、生徒に自ら考えさせる時間を設ける必要があります。現在、多くの塾では大学生のアルバイト講師が多数活躍しています。これは、塾が指定するテキストを使えば、一定以上の学力の持ち主であれば比較的容易に授業が行えることを示しています。

もし考える力を養成することが塾にも求められるようになれば、学生講師を積極活用することが難しくなるかもしれません。現在は名ばかりの研修を行うだけで稼働させている学生講師を使いづらくなりそうです。一部の塾では業績の悪化も懸念されますね。とはいえテストの変化に対応しなければ生徒や保護者からの信頼は得られません。塾は難しい局面に差し掛かっていると言えます。

塾と一口に言っても様々なタイプがあります。考える力を養うためには、生徒1人1人の思考パターンに合わせた指導が望ましいです。そのため、画一的な集団指導ではなく、個別指導や家庭教師の人気が高まるのではないでしょうか。特に、集団指導で高いブランド力を誇っている塾では、個別指導業態も展開しているところが少なくありません。現在はサブ的な存在の個別指導業態がメインに転じる日が近いのではないでしょうか。

これまでもテストの傾向が変わったことは何度もあります。しかし、「考える力」を重視する変化は、塾の指導法を根本的に代える必要を生じさせます。したがって、塾業界でも大きな変化が起こると想定されます。果たしてどのような対応をとった塾が生き残っていくのか、楽しみですね。