生で相撲を観戦する面白さについて
大相撲の本場所は奇数月に開催され、このうち1・5・9月の3回は東京の両国国技館、3月は大阪府立体育会館、7月は愛知県体育館、11月は福岡国際センターを舞台に開かれています。いずれも15日間が開催時期となっているので開催月の半分は相撲ファンにとっては目が離せない時期といっても良いと思います。
この時期になるとNHKでは総合テレビで2時間~3時間程度、衛星放送で5時間、ラジオで2時間程度、放送される上、最近では日本相撲協会のホームページで取り組みの様子を午前中から生で配信しているので、わざわざ、こういった場所まで行っていかなくても相撲を見られるので見に行く必要はないと考えている人も結構いらっしゃるのではないかと思います。
たしかに、生で相撲を観戦するとなると入場料金などお金が、かなりかかってしまいます。例えばお茶屋さんと呼ばれている相撲案内所を通じてチケットを注文した場合、お弁当やお土産もセットになっておりますが、最高で一人当たり3万円近くかかってしまいます。チケットだけを注文するパターンでも幅はあるものの、東京で開催する分では3,800円が最安値となっています。ちなみに、このチケットの料金は基本的に土俵から近ければ近いほど高くなっており、近い順に溜まり席、マス席、椅子席の順になっています。
具体的には、溜まり席は個人でも注文できますが、すごく土俵から近いのでお相撲さんが飛んでぶつかる危険性がある点を理解しておく必要があります。マス席の場合は大抵2人以上の単位で販売されているケースが多いので、団体で注文するときは適しているといえますが、割り当てられたスペースが小さいうえ、間隔が狭くなっておりますので、ゆっくり寛いで相撲観戦という事は難しいと思います。椅子席は個人単位で販売されており、座席も1人分がしっかりと割り当てられております。ただし、距離が、やはり離れているので、場合によっては双眼鏡などを準備した方が良いかもしれません。
このように、生で観戦するメリットが少ないように思えるかもしれませんが、テレビなどで観戦するのとでは、かなり違ってきます。最大の違いは土俵上で力士がぶつかる音が遠くでもはっきりと聞こえたり、力士たちの呼吸が聞こえたりするなど臨場感が味わえる点ではないかと思います。また、溜席や花道という力士たちが行き来する通路に近い席だと、びん付油の独特な匂いもします。これは力士が髷を整えるのに使うものなのでお相撲さんに近づくと、この匂いがするので、日常とかけ離れた雰囲気を味わうことに繋がるのではないでしょうか。また、一部の場所では、ちゃんこ鍋という力士が普段食べている料理を300円ほど食べることができますので、日常とは少し離れた雰囲気を楽しめる要素の1つです。さらに最近では、テレビに映っている人気力士や親方と触れ合ったり、和装をレンタルして観戦できたりするなど、観客に対するサービスも充実しております。
相撲観戦に対するイメージとして、昔はおじさんが集団で観戦するもので、チケットも電話で注文するか会場で買うしかなく面倒臭く敷居が高いものだと感じる人もいると思いますが、今はそうではありません。先述したとおり、最近は観戦客に対するサービスが充実したり、チケットもインターネットなどで購入できたりするので、20~30歳代など若年層のファンや外国人も増えるなど、観客層が確実に厚くなってきております。
ライブやコンサートとは異なり、チケットに書かれた時間通りに来なくても構いませんが、午前中は観客が少ないので、椅子席など遠くの席で見てもより力士の息遣いや土俵に落ちていく音などの臨場感が楽しめるだけでなく、この時間帯はテレビ等では放送されないので、テレビ等で見るのとは、また違った取り組みを楽しむことができますのでお勧めです。
このように、1度は会場まで足を運んで、生で相撲を見る価値は十分にあるのではないかと思います。