相撲は力士だけが主役ではない
相撲、とりわけ大相撲の世界では相撲を実際に取る力士だけに注目されがちですが、実は他にも多くの人達が活躍しています。まず、大相撲では力士は日本相撲協会の構成員という位置づけにされています。構成員は一般の会社の社員と捉えればよいかと思います。この構成員は他にも年寄・若者頭・世話人・行事・呼出・床山も含まれています。つまり、これらの人達も力士同様に日本相撲協会の社員として働いていることになります。ちなみに力士は十両以上の関取にならないと正式には認めてもらえず、それ以下は養成員扱いで給与が出ないなど、関取との扱いが大幅に異なります。ただし、相撲部屋は寮のような施設で、食事代や家賃などがかからない上、給与が出ないといってもお小遣いのようなものは支給されるので、生活がギャンブル漬けになるなど、よほどの乱れていない限り困窮することは少ないです。
先述した構成員のうち年寄・若者頭・世話人は現役時代に相撲を取っていた元力士の一部がなることができます。年寄は親方とも呼ばれていて、相撲部屋で力士を指導したり、本場所では場内警備や取り組みの審判係などを分担して熟したりしています。若者頭は取り組みの進行係と雑用を、世話人は取り組みで使う道具の準備を、それぞれ担っています。これらの職員は相撲教習所という力士に成りたての人が半年間通う学校のような施設で指導もしています。
行司は取り組みで戦う力士を合わせるなど進行役を担います。「ハッキよい!残った!」と掛け声をかけることで有名ですが、これ以外の仕事として、当日の取組表や番付表を書いたり、巡業で宿泊先の手配を行う補佐役を行ったりしています。呼出は取り組みを行う力士を読み上がることで有名ですが、他にも太鼓で取り組みの開始と終了を告げたり、土俵を作ったりしていています。また、力士や行司の世話もこなしています。
床山は力士の丁髷や関取にだけに許される大銀杏を結っています。
いずれも、大相撲を成立させるのには欠かせない仕事であり、全員が分担して役割を果たしています。