呼出の仕事とは

呼出秀男の相撲ばなし | 山木 秀男 |本 | 通販 | Amazon

呼出は土俵づくりの主人公である

大相撲の世界で呼出の仕事は本場所を中心に何種類も存在していますが、その中でも、有名なのは力士たちが土俵に入る前に扇子を広げて「ひが~し、××の海、××の海」のように、2回ずつ声を出して紹介して、去っていく姿ではないかと思います。この仕事を呼び上げといいます。しかし、それ以上に大事なのは力士が相撲を取る土俵全体を任されていることです。具体的には、まず土俵を規定通りに作成します。この規定が相撲規則の土俵既定で厳格に決まっており、例えば大きさは1辺が6.7mの正方形の土を盛って、直径4.55mの円形になるように俵16個を6割ほどの高さ分を埋めて作成することや、土俵中央に70cmの間隔を置いて長さ90cmの白線を敷くことなどが挙げられます。この白線を仕切り線と呼ばれています。この規定項目は8条まで存在しています。ちなみに土俵の土の種類まで規定に入っており、東京場所の場合は荒川の河川敷から取って作るようにと書かれています。そして、これらは全て手作業で行われており、土俵を固める際にはビール瓶などで叩いており、機械類は一切使っていません。これは土俵が神聖な場所であるため、全て人の手で行うことで穢れなどを持ち込まないためではないかと考えられます。勿論、土俵を作るだけが仕事ではなく、その後のメンテナンスも大事になってきます。具体的には取り組みの間に箒で土俵を掃き清めたり、水をまいて乾燥を防いだりする様子を、たびたび見られますが、その作業がそれに該当します。この作業に加えて1日の取り組みが終わった後に仕切り線を書き直したり、土俵の乾燥具合などを確認し、シートを敷いたりしています。土俵で一番気を付けなければならないのは乾燥で、いくら頑丈に固定しても合計で重さ0.4tほどが1日で600回以上乗って動き回るので、ひび割れが起きてしまった場合は崩れやすくなってしまいます。そうなると競技を続けるのは難しくなります。現に約20年前に幕下の取り組みで一部に穴が開いてしまうハプニングがあり、先述のようなことが心配されていましたが、中入りの休憩時間で応急処置を取って対処し、難を逃れました。

本場所で呼出を見る機会は多い

土俵周辺の仕事として他には、拍子木を打って関取以上の土俵入りを観客に知らせたり、懸賞幕をもって土俵を回ったり、取組前の力士や審判をしている5人の親方の座布団を交換したりしており、相撲中継や観戦の際に裏方として働いている様子を何十回も見ることができます。また、太鼓を打ち鳴らして、1日の取り組みの開始と終了を観客などに知らせるのも仕事の1つです。太鼓を打っている様子は普段は高台の上で行われるため、見ることは難しいですが、巡業などの本場所以外の、興行の際はイベントの1つとして紹介されたり、会場の入り口に座って鳴らしたりしているので、その様子を間近で見ることができます。ちなみに呼出は本場所では着物を着ていますが、それは紀文などの企業の広告が入っているので目につきやすいと思います。

以上の作業は年6回行われる本場所だけではなく、地方巡業などの際でも同じです。また、呼出は力士と同じように相撲部屋で生活をしており、行司や親方などと一緒になって事務作業を熟すこともあります。

職員としての呼出の立場について

呼出も日本相撲協会から職員のような立場として雇用されており、未成年の男性しか採用されておらず、定年は65歳なので、満期まで勤めることができれば、少なくとも45年間、働くことができます。呼出の名前は下の部分だけなのが特徴の1つで、本名から取るパターンや所属している相撲部屋から取るパターンなどがあります。例えば春日野部屋に所属している拓郎は本名から取っていますが、佐渡ヶ嶽部屋に所属している琴吉は部屋の力士同様、「琴」を付けることに由来して取られています。呼出にも階級が存在し最高位が立呼出で先述した拓郎1人が該当します。その次が副立呼出ですが、現在は1人もいません。そこからは三役呼出や十両呼出など力士の階級と同じように序ノ口呼出まであります。

これらのように呼出は土俵の管理全般と観客のアナウンスを主に行っています。