宇良関と木瀬部屋について
レスリングと相撲で力を蓄えた宇良関
宇良関は平成4年6月生まれの24歳で、大関の豪栄道関と同じ大阪府寝屋川市で誕生しました。相撲歴は20年で相撲一筋に近い少年時代を過ごしました。並行してレスリングも中学までやっていましたが、相撲が一昔前まで英語でジャパニーズ・レスリングと呼ばれていたことや、レスリングでも相手と組んで技を繰り出すなど相撲に応用できる点があることを考えれば相撲一筋といっても過言ではないかと思います。現に、宇良関も相手の懐に潜り込むなどの相撲展開はレスリングから得たものであると考えられます。入門したのは今から2年前の春場所で関西学院大学から木瀬部屋に入りました。
出典:http://www.sumo.or.jp/ResultRikishiData/profile?id=3616
レスリングを応用した取り組み内容が斬新で面白い
宇良関と言えば、なんといっても超軽量な体から繰り出す多彩な技と、相撲とは思えないような取り組み内容を見せてくれるのが特徴といえると思います。体重を増やした今でも127kgしかなく、現役の関取では石浦関、照強関、里山関に次いで4番目に軽い力士です。相撲の取り組みでは、最近は押しや寄りなどの正攻的な内容が増えてきましたが、十両に上がった当初は、このような内容は少なく、立ち合いに最初から足取りを狙ってぶつかって行ったり、上体をのけぞって攻撃をかわしたりするなどの内容が多かったです。相撲界では反り技を狙おうとしても先に自分の手などがついて自滅する可能性が高く、めったに決まりませんが、宇良関の場合はそれを得意に1つにしていて、今年の初場所では関取で初めて襷反りの決まり手で天風を破りました。ちなみに、この場所で11勝を東十両3枚目で上げたため、次の春場所での新入幕が期待されています。また、通常の土俵展開としては押し合いになったり、技の掛け合いになったりして常に動き続けていることが多く、止まる場合でもお互いに組んだ状態であることが多いですが、組もうともせずに離れてじっと窺い続けている状態になることもしばしば見受けられ、まさにレスリングの試合を見ているような感じです。このような例は同じ軽量力士の石浦関でもありました。
木瀬部屋師匠の元肥後ノ海関について
宇良関が所属している木瀬部屋の師匠は元肥後ノ海関です。肥後ノ海関は昭和44年9月に熊本市で生まれ、現在47歳です。日本大学4年生の時に全日本学生相撲選手権大会で優勝した実績から、平成4年1月に幕下付け出しで、元大関増井山関が師匠を務める三保ヶ関部屋に入門しました。ちなみに、同じ熊本出身で、同じ道を歩んできた力士として現尾上部屋師匠の元小結濱ノ嶋関がいます。入門して1年少しで新入幕を果たし、左四つになってからの右からの上手投げや寄りを強みとしていましたが、怪我の影響などで前頭筆頭が最高位でした。現役生活は、ほぼ11年でしたが、その中で第64代横綱曙関と第65代横綱貴乃花関から1つずつ金星を取るなどの活躍を見せました。引退してからは部屋付き親方として指導していましたが、引退の1年後に独立して木瀬部屋を興しました。
木瀬部屋は大所帯で関取も多い
この木瀬部屋は両国国技館のある墨田区内にあり、国技館まで徒歩15分程度と近い位置に部屋を構えています。周辺には首都高速が上を通っている川が流れています。
木瀬部屋には現在、宇良関の他に幕内では体重が200kgを超える巨漢ですが、取組後に表情をはっきりと表すことで人気になっている臥牙丸関がいます。また、十両では英乃海関、徳勝龍関、希善龍関も活躍しており、これら5人の関取を始め力士が35人も在籍しており、いわゆる大所帯となっています。過去に経験したり、在籍したりした力士を含めると11人も関取を輩出しています。さらに去年には出羽海部屋で相撲を取っていた元小結普天王関の稲川親方も移籍して力士の指導を務めています。ここに三段目に匹敵する階級の床山と呼出が1人ずつ在籍しているので、少なくとも40人が共同生活をしていることになります。大所帯であるため単独で一般に対して催しを行っているケースがあり、具体的には東京都内でちゃんこ鍋の会というイベントが一般公開として開かれており、朝稽古の様子を見学でき、そのあとにちゃんこ鍋を食べることができます。このちゃんこ鍋は味噌ベースであっさりしているのが特徴です。