貧困とどう向き合うか「ニッポンの貧困 必要なのは「慈悲」より「投資」」

2018年4月7日

ニッポンの貧困 必要なのは「慈善」より「投 資」 | 中川雅之 |本 | 通販 | Amazon

貧困というとどのようなイメージがまず思い浮かぶでしょうか。良く聞くのはホームレスだったり、日雇い労働者だったりとあまり自身の身近なところではないイメージかもしれません。しかし、社会的弱者と言われる人々が多くなるなかで、一部の人達と思われていた、貧困状態にある人々も顕在化してきており、増加しているということかあります。

この本ではそれぞれの章で専門家の現場のインタビューが交えてあり現実が分かりやすい内容となっています。

第一章では貧困のデーターが示す生活困窮についてです。貧困にはそうなる原因があるということで、例えば老後の資金不足や非正規雇用、精神的な疾患、一人親家庭、親の介護、事故や病気やリストラと誰にでも起こりうるかもしれないことが具体的にあげられています。

第二章では貧困の仕組みのなかで教育ゲームが将来を奪うということについてです。大学生であっても親がお金を出してくれるのが当たり前ではなく奨学金を借りて大学に通っている学生ももちろんいます。奨学金を借りればもちろん返済があり、就職しても返済と生活とバランスを上手くとらないといけません。就職しても3年間辞めずに働く人は3割りというのです。奨学金により自己破産も起きてしまうのです。高い教育費をどのように負担すべきかの問題があります。また、介護職は人手不足から海外からの労働力に頼らざるを得ません。収入に見あった労働をしたいのにできないということで、貧困の再生産が行われることが書かれています。

第三章では貧困を生み出すものとして女性と家族を巡るしがらみについてです。家族の機能不全を社会全体でカバーできる仕組みがきちんとないため、シングルマザーなどは子育てと仕事の両立の大変さから貧困から抜け出せないこともあります。

第四章では貧困地区の挑戦についてです。貧困地域の問題についてですが、ドヤ街の課題への取り組みがあり、何とか街の問題を行政も協働し解決していこうという取り組みが書かれ、滋賀県の野洲市長のインタビューがあります。地域力について参考になる内容です。

第五章では、企業が出きることについてです。福祉は慈善事業ではなく投資として捉え直すことの重要性を説いています。貧困の支援は財政的な厳しさのある行政任せでなく、民間資金により社会的な解決を図ることが重要だということです。

投資ということは福祉の世界ではなかなか考え付かなかった視点です。貧困問題が日本社会に及ぼす影響が大きくなるなかでは、貧困について慈善でなく、企業やビジネスとして何が出きるか考えていく必要が出てきている、それだけ貧困問題は社会で考えていく課題であるということが分かりやすく書かれている一冊です。