子どもの笑顔は見られるのか「走れ!児童相談所」

2018年4月7日

走れ! 児童相談所 発達障害、児童虐待、非行と向き合う、新人所員の成長物語 | 安道 理 |本 | 通販 | Amazon

児童相談所という場所が何をしているのか分からなくても、児童相談所の名前をテレビのニュースで耳にしたりすることは増えてきています。子どもを守るのは誰か、子どもの人権保護のためにも隣の子どもがいつも泣いていたり親が大きな怒鳴り声やたいたりしている姿を見かけたら、児童相談所に通報しましょうと、テレビや新聞広告でも目につくようになってきています。

この本では児童相談所に配属となった著者が見てきたことですが、内容はフィクションとなっています。フィクションであっても児童相談所の実態を伝えようとしています。著者は児童相談所に配属されて初めて児童虐待や発達障害のある子ども達の現実問題にぶち当たります。

著者は公務員であり、事務職です。公務員の事務職と言えば、戸籍や年金や保険など、日々誰もが暮らしの中で必要となるものの事務的な手続きなどが仕事になります。しかし、事務職から児童相談所のケースワーカーへと次々に訪れる問題から成長していく姿があります。成長していくなかでは先輩達の励ましや助言があります。研修もあるので、そこでどのように子どもや親と接していくのか、どのような子どもがいるのか学び面接技術も学び実践しています。研修で学んでも実践の場は難しく発達の遅れのある子の親子面接で戸惑ったり、非行少年の更正に向けた支援のあり方に苦戦したりします。また、身体的な虐待の場面での親との大変なやり取りもあります。そして、里親支援にも触れており里親制度により被虐待児へ家庭環境を整備していく支援もあります。

児童相談所が日々どのようなことに奮闘しているのか、子どもを取り巻く虐待といった家庭環境の実態をありのままに伝えています。そこから、この本を読んだ人達が少しでも児童虐待について現状をしるきっかけとなったらという想いもあるようです。

この本は児童相談所の仕事内容がフィクションですが事例もあり分かりやすく書かれています。子どもが幸せになるケースばかりではない現実はあるかもしれませんが、そのような中でも子どもの安心した環境や生活を考え日々働いている職員の姿はやはり、日々何気なく過ごしているなかで子どもの現状を考えさせられるものとなっています。