子どもに責任転嫁する「子どもに貧困を押しつける国・日本」

2018年4月7日

[山野 良一]の子どもに貧困を押しつける国・日本 (光文社新書)

貧困問題というと、例えば老後の蓄えが足りない年金が少ない、ワーキングプアーであるといったことは容易に思い付く課題かもしれません。しかし、現在の貧困問題は、大人だけに言えることではなく、社会環境や家族環境に影響される子ども達にも及んでいます。子どもは国の宝だと言われていた時代もありましたが、社会の考え方は刻々と変化しています。

今は六人に一人の割合で子どもが貧困状態にあると言われています。つまり、子どもの貧困は16.3%にもなるのです。子どもは生まれる家を選べないとは言いますが、生まれ育った環境によって将来も変わってきます。

第一章では今なお日本は「子どもの貧困」大国として、2014年のデータで子どもの貧困率が16.3%であり過去最悪の数字の更新であることがと言われています。子どもの貧困は見ようとしなければ見えないものとして誰からも考えられることのない課題となってしまいます。著者はその見えにくさを少しでも解消できることを目的としています。
第二章では最低の保育・教育予算・最高の学費として、幼保一元化が行われたことによる弊害や危険性、国立大学の学費が30年間で14倍にもなっている現状を知ることができます。
第三章では報じられた子どもの貧困として、子どもの事が消費税が上がっても後回しになり、社会のなかで子どもの位置付けがどうなっているのか述べられています。
第四章では家族依存社会の生きづらさとして、家族のなかで生活しているため狭い世界での生活であるとその家族同士が依存しあい、貧困世帯であれば家族の依存関係で家族が安定してしまい貧困からの脱却が難しくなるということです。
第五章では貧困対策とコストパフォーマンスとして、無保険の子どもなど、社会の仕組みでは目に見えない子どもの問題や生活保護を受給している人へのバッシングの裏にある生活保護受給者の真相についても書かれています。

子どもが育っていくにはもちろん、お金もかかります。また、お金だけでなく子どもを育てるには愛情も必要です。子どもが十分な教育が受けられる環境が不足していたり、家族環境に課題があるために子どもの貧困が生じ、子どもの権利が奪われるようなことがないように、社会からも子どもの貧困問題についてアプローチする必要があると認識させられる一冊です。