カシューナッツみたいな形の耳穴を塞がないイヤフォン「ambie sound earcuffs」
ambie sound earcuffsのホームページより
耳の穴を塞がない形のイヤフォン・ヘッドフォンというと、従来はほぼ頭の骨を通じて耳まで音を伝えるタイプの「骨伝導式」のみが製品化されているだけだったと思います。
そんなちょっと変わったタイプのイヤフォンに新顔が登場しています。
ソニーが会社の成り立ちに噛んでいる形のambie(アンビー)が開発した「ambie sound earcuffs」がその製品です。
耳を挟むような形で装着するアクセサリーのイヤーカフのような形をした、とてもユニークなイヤフォンです。
今回はこの製品を取り上げてみます。
独特の装着法と装着感
ambie sound earcuffs(アンビー サウンド イヤカフ)は耳をはさむような形で装着する独特の形をしています。
本体からはU字に曲がった音を導く管が伸びていますが、その管の先が耳の穴を塞ぐことはありません。あくまで耳の後ろ側に回り込むイヤフォンのドライバーから、耳穴まで音を導くための管としてのみ働くようになっています。
ですので、管の先は耳穴の手前に位置するような感じの装着になります。
耳を挟む形になりますので、慣れるまでは人によっては耳に痛みを感じるケースもあるかもしれません。特に長時間装着する場合には。
有線型のイヤフォンのためケーブルの重量がかかることもあって、イヤーピースの存在を忘れるほどのフィット感は得られないようですが、きちんと装着できれば多少動き回ってもイヤーピースが耳から外れて落ちてしまう、と言ったことにはならないようです。
音楽を聴いていても周囲の音がきちんと聞こえる
カナル型のイヤフォンや、ノイズキャンセルタイプのイヤフォン・ヘッドフォン使用時に特に問題になるのが、遮音性能が高すぎて周囲の状況が音からほとんど伝わってこなくなることです。
車の接近に気づかなかったり、駅や電車の中のアナウンスを聞き逃したりするなど、音楽に浸りきれる反面、必要な情報を聞き逃したり、危険な状況に陥りかねないデメリットがあります。
ambie sound earcuffsのような耳穴を塞がないタイプの製品ならば、そのようなデメリットからはまず間違いなく開放されることになるはずです。
音楽を集中して聴くには全く向かない構造
このタイプの製品を使っていると、耳の穴の方からはごく普通に周囲の音がどんどん入り込んできます。安全面等々に関してはとても有利な部分ですが、こと音楽を集中して聴きたい、というニーズには反する機能になりますね。
音質面でもどうしても低音側の表現力が弱くなり、特定のジャンルの音楽に関しては音のバランスが今ひとつに聞こえる可能性がありそうです。
周囲の状況もきちんと入ってくることから、どちらかというと軽~く聞き流すレベルの音楽を流すような、音楽をあくまでBGMとして利用するような使い方に向いていると思います。
また、音楽をしっかり聴きたいからとプレイヤーのボリューム設定を必要以上に大きくしたりすると、確実に音漏れが起こります。その点を考慮すると、騒音の大きな電車の中などでの使用には向かない製品と言えるかもしれません。
街角を「自分専用のBGM」を聴きながら散歩するような、そんな軽いつきあい方が向いているイヤフォン、そういう今までにないタイプの製品ですね。
使い方も今までのイヤフォンとは違う方向で
ambie sound earcuffsは防水仕様ではないため、汗を大量にかくタイプのスポーツ中の利用にはあまり向いていません。スポーツ中の降雨などにも注意しないといけなそうです。
ただ、耳穴を塞がないため耳の中が蒸れる、といった不快感とは縁がなくなるタイプのイヤフォンですね。
どちらかというと屋内にいるときにどの部屋でも自然にBGMが流れているような環境が欲しいユーザーが、スピーカーを設置する代わりにこの製品を使う、そんなつきあい方が合っているイヤフォンなのかもしれません。
見た目も仕組みも何もかもが新しいイヤフォンですが、きっと使い方のほうも今までのイヤフォンとは違う何かを、製品自体が訴えてくるタイプのイヤフォンなのかもしれません。