現在の生活保護とは「生活保護―知られざる恐怖の現場」

2018年4月7日

生活保護:知られざる恐怖の現場 (ちくま新書) | 今野晴貴 |本 | 通販 | Amazon

生活保護の話題はメディアでも取り上げられることが多くなってきています。それだけ、自身での収入が生活していくためには不足している現状があるのでしょう。健康で文化的な生活、憲法でも最低限の生活について条文があり、人々の生活を保証するためにも生活保護がきちんと機能しないと社会構造も崩れてしまうかもしれません。

実際に生活保護の現場では何が起きているのでしょうか。高齢者の年金暮らしの生活保護受給者の数も多いようですが、この本では他の理由での受給者のことが多く書かれています。一人親家庭のギリギリの暮らしの状況もあります。

本の中では生活保護のケースワーカーの業務として、資産や収入や健康状態の把握が必要とあります。けれども、このようなことも、生活保護受給者の拒否があり、なかなか生活状況を把握できないこともあるようです。いくら訪問しても居留守を使う人もいて面接ができないこともあると、これでは仕事が成り立たないかもしれません。

また、生活保護を受けるハードルがかなり高いように書かれています。面接の場面で色々言われてしまい申請するかどうかかなり迷うこともあるとのことです。行政の態度がどうかということについて、この本では行政に対しての良くないことも多く書かれています。実際には自治体でも人によっても話し方が違うので同じことを言われても受けて側の心情は違うかもしれません。生活保護行政についてかなりの反発が書かれていますが、生活保護のケースワーカーが生活保護の受給者に対して高圧的な態度をとっていることもあるとのことです。また、病院を受診するにしてもすべての病院にかかれるということでなく、制限もあるとのことです。そして、医療費も無料になりますが医療費が無料になることもあまり知られていません。

自治体へのバッシングもあとをたたない世の中で、セーフティネットとしていかに生活保護が理解されていくか、生活保護の業務の本質は何か、実際をもっと知ることが必要ではないか、生活保護の業務内容について、ケースワーカーの役割りの理解も必要であり、そこに今後の課題を感じさせられる本です。ただ、バッシングするのでなく、様々な情報をきちんと得ることが大切だと感じさせられます。