ブラックチョコは本当に苦いチョコなのか
チョコレートの定義と作り方
チョコレートは、おやつなどで甘さを求めて食べている人も多いと思います。そもそもチョコレートとはカカオの種子を加工して作られるものに、カカオ豆に入っている脂肪分であるココアバター、砂糖などの糖類、粉ミルクなどの乳製品の計3種類を混ぜて作った食べ物であると定義されています。普段はチョコレートという呼び名だけでなく、チョコと略したり、最近ではフランス語のショコラと呼ばれたりすることもあります。
次に、そのようなチョコレートが具体的にどのように作られるかを説明すると、まず、原料となるカカオ豆が南米やアフリカなどの生産地で収穫した後、発酵と乾燥をしてから輸入されます。輸入されたカカオ豆は選別されたのち、砕かれて、焙煎されます。こうすることで、独特の香りと風味が得られます。その後は細かくすりつぶしてペースト状にしたものに先述したココアバター・糖類・乳製品を加えてしっかりと練ることによりチョコレートの甘さと香りが生まれます。ちなみにこのペースト状のものをカカオマスといい、チョコレートが黒に近い色をしているのは、このカカオマスによるものであると考えられます。後は、これを厳正な温度管理の下、置かれることで味を一定にさせたり、熟成をされたりして完成となります。
材料の割合によってチョコレートの分類が変わってくる
基本的な作り方で作成したチョコレートはミルクチョコレートと呼ばれています。先述した作り方の過程で、材料のココアバター・カカオマス・糖類・乳製品の割合や種類を変えることで作成されるチョコレートが変わってきます。まず、基本形のミルクチョコレートでは乳製品として、昔の給食で出てきた脱脂粉乳などが使われますが、クリーム粉乳を用いることもあり、そのようなチョコレートをクリームチョコレートと呼ばれることもあります。
同じミルクチョコレートでも、ハイミルクチョコレートがミルクチョコレートと別のものとして売られていることもありますが、これは、カカオマスの割合が少なく、乳製品の割合が多くなっているチョコレートのことです。原材料の順番に関してみると1番目は砂糖が来るケースが多いと思われますが、ハイミルクチョコレートの場合は、この次が全粉乳などの乳製品が表示されており、味も牛乳のような感じが少し強めに現れることが多いそうです。ちなみに一般のミルクチョコレートでは乳製品は3番目でカカオマスよりも少ない割合のことが多いです。
次に、糖類や乳製品の含まれている割合が少ないチョコレートがブラックチョコレートです。この為、ブラックチョコレートでは苦味が強くなるという特徴がありますが、この苦味は材料のカカオマスによるものと考えられます。さらに乳製品が全く入っていないチョコレートをスイートチョコレート、少ししか入っていないチョコレートをセミスイートチョコレートと呼ばれることもあります。ちなみにセミは日本語で「~に準ずる」という意味から、前者ほど縛りが少ないのがセミスイートチョコレートとなります。これ以外にも、洋菓子関係を中心にダークチョコレートと呼ばれたり、本来の苦みが味わえるという事からプレーンチョコレートやビターチョコレートとも呼ばれたりすることもある。市販されているものではカカオマスが含まれている割合が40%~60%のケースが多いとされております。ちなみに種類によっては全粉乳のような乳製品が原材料に書かれていないものもあり、これはスイートチョコレートとなります。
最後に、カカオマスを入れないで作られたチョコレートもあり、色は白色になることからホワイトチョコレートと呼ばれています。カカオマスには先述したようなチョコレートの苦みを与える役割を担っており、これが含まれていないことから、かなり甘めの味が楽しめるのも特徴の1つとなっています。
また、原材料には植物油脂が含まれているチョコレートもありますが、これは、チョコレートを製造する際に、植物油脂を入れることで効率よくチョコレートができることによって製造工程を簡略化できたり、食感を良くしたりする効果が期待されているため、植物油脂を入れて作っていることが考えられます。ちなみに、植物油脂を入れたチョコレートをチョコレートと見なしていない国が一部あります。
これらのように、市販されている種類だけでも一般のミルクチョコレートだけでなく、乳製品の割合を高めたハイミルクチョコレート、カカオマスの割合を高めて本来の苦みが味わえるブラックチョコレート、逆にカカオマスを入れずに甘味を味わえるホワイトチョコレートなどがあります。
これ以外にも、生クリームや洋酒を入れて独特の食感にした生チョコレートやココアバターの割合を高めたミルクチョコレートとしてクーベルチュールチョコレートなどがあります。さらには、チョコレートの中に予めヘーゼルナッツなどのナッツ類を砕いて混ぜたチョコレートもあり、これがジャンドゥーヤチョコレートと呼ばれています。ちなみにジャンドゥーヤチョコレートは一般的に良く見かけるアーモンドチョコレートのようにチョコレートの中にナッツがそのまま入っている物とは異なります。
ブラックチョコレートとココアパウダーの関係
先述しましたが、ブラックチョコレートは製造工程でカカオマスに砂糖などの糖類や牛乳などの乳製品を加える段階で、これらを少なく入れたり、全く入れなかったりして作成されます。そしてカカオマスにはチョコレート本来の黒色と苦みを与える効果があります。なので、本来、このカカオマスの含まれる割合が高いとされているブラックチョコレートは普通のミルクチョコレートよりも苦みがある可能性が高くなります。ところが、市販されているブラックチョコレートの味で普通のミルクチョコレートと同じように甘いものもありました。同じメーカーのミルクチョコレートと比較すると、どちらも原材料の順序が砂糖・カカオマスとなっており、前者が、この後、全粉乳すなわち乳製品が含まれていないという違いだけでした。ちなみに、どちらもチョコレートに対するカカオの割合は35%~40%で同じでした。
同じブラックチョコレートでも商品名にカカオ80%のようにカカオの割合が表示されているチョコレートがあり、これを食べてみると、やはりしっかりと苦みを感じられました。この原材料を見るとカカオマスが1番目に表記されていて、カカオ90%のような本格的なチョコレートの場合は砂糖などの糖類が3番目で、次にはココアパウダーが含まれていました。これは、チョコレートの基として作成されるカカオマスからココアバターを絞り出した上で粉末状にして作られたものです。なので、この割合も表記されているカカオの割合に含まれます。実際に食したものはカカオ70%の物でしたが、これが3番目に入っていました。
ちなみに粉末状でミルクなどに入れて飲むなどして使われるココアも、このココアパウダーから作られますが、このままではカカオマスと同じで苦味しかないことから、チョコレートの甘味を作るのと同じで、砂糖などの糖類と粉末牛乳などの乳製品類を入れて商品として出荷されていることが多いです。これは調整ココアとも呼ばれ、ココアパウダー自体を売っていることもありますが、これは純ココアと呼ばれて区別されています。実際に飲むときは、前者の場合だとお湯だけで溶かして飲むことも可能です。ただし、ホットミルクなど乳製品よりも多く粉を使うケースが多いです。何も甘味が入っていない後者を飲む場合は、砂糖と牛乳などの乳製品を入れて混ぜて飲むケースが多いです。喫茶店などではコーヒーと同じように生クリームを入れて作られるウインナーココアや牛乳を多く入れて作られるココアラテがメニューに入っていることもあり、より甘みが強く、デザート感覚などでココアを楽しみたい人にとってはお勧めです。
苦いブラックチョコを買ってしまったら砂糖と乳製品を組み合わせるのも一手
同じブラックチョコレートでも、入っている原料の割合によって甘みと苦みとのバランスが、かなり違ってくることを扱ってきましたが、カカオ80%のようにカカオの割合が表記されていないブラックチョコレートで、間違えてカカオマスがたっぷり入っていて苦いチョコレートを買って失敗したという人もいるかもしれません。そうなってしまった場合の回避策の例を一部紹介したいと思います。
先述したとおり、ブラックチョコレートと普通のチョコレートとの違いは原料に、砂糖や牛乳が多く含まれているか否かであるので、砂糖と牛乳を混ぜたシュガーミルクにつけて食べたり、溶かしてココアのようにして飲んだりする方法が手っ取り早く、何もアレンジせずに頂きたい人にとってはお勧めの方法です。
少しだけアレンジをしたい場合は、イチゴジャムなどのジャムが入ったヨーグルトに溶かしたブラックチョコレート混ぜて食べてもおいしいですし、トーストを食べているケースでは、食パンの上に載せて、溶かしのばして食べても、前者ほどではありませんが、食パンには砂糖などの糖類や脱脂粉乳などの乳製品が原料に含まれているので、そこに含まれる甘みとコクがブラックチョコレートの苦みとが程よくマッチするかもしれません。
また、ブラックチョコレートでも、普通のミルクチョコレートと同じようにお菓子の材料として使われることもあり、具体的には、濃厚なガトーショコラ等のチョコレートケーキや、生チョコ、さらにはチョコレートアイス、チョコレートクッキ、チョコレートラスクなどにも使うことができ、ミルクチョコレートとはまた一味違ったものになって食べ比べてみるのも面白いかもしれません。
このようにブラックチョコは苦くても甘味とコクを出す乳製品を組み合わせれば、ある程度苦みを回避できるのではないかと思います。