手軽に食べられる日本食のマナーとは

日本食でもマナーに触れる機会が少なくなってきている

[秋山龍三, 草野かおる]の「食事」を正せば、病気、不調知らずのからだになれる ふるさと村のからだを整える「食養術」

日本食には、最近ではファーストフード店を使ったり、スーパーなどの惣菜を買って食べたりしているため直に触れる機会は減っている人が少なからずいらっしゃると思いますが、マナーというものが存在している料理もあります。今回はスーパーなどで手軽に買ったり、手作りしたりして家で食べることができる反面、高級店や大手チェーンなどの飲食店でも食べる機会がある、焼き鳥とお寿司を例にどのような行為がマナーに反するのかを一部紹介したいと思います。

焼き鳥の場合、串から外す行為はマナー違反とされている

まず、鶏肉の旨味を味わえる料理の1つとして挙げられている焼き鳥は鶏肉を一口大の大きさに切って串に4~5個程度刺して、そのまま直焼で作られる料理です。駅の近くの焼鳥屋などだけでなく、スーパーなどでも惣菜の1コーナーなどを占めるなどして手軽に買うことができますが、色々な種類があります。具体的には、モモ、カワ、ねぎまなどが挙げられますが、モモが一般的で、胸肉とともに正肉と呼ばれることがあり、これに葱を交互に刺したものが、ねぎまです。カワは文字通り鶏の皮が用いられ、かなり油濃い味が楽しめることが多いです。これらの他にも挽肉などで作られるつくね、最もヘルシーで食感がしっかりと味わえるササミ、胃の部分の筋肉であり、食感が独特な砂肝などの部位があり、レバーやハツなどの内臓部分やひざ部分などの軟骨部分も売られていたりメニューとして書かれていたりする場合もあります。味付けは主に、醤油やみりんなどの甘辛いタレをつけて焼いたタレと、塩だけを振って焼いている塩の2種類に分かれ、特に、肉のそのものの味が味わえるのは後者の方となりますが、店やスーパーなどで売っているものの中には、塩以外にもニンニクなどの香辛料を塩ダレとして絡めて作られるものを示していることもあるので注意が必要です。ちなみに、近年では焼き鳥店によってはスパイスタレやわさび味として味付けがされているケースや、チーズ味など和風にとらわれない味付けがされているケースがあるなど、バライティが豊富になってきています。

この焼き鳥ですが、鶏肉以外の肉が用いられるケースがあります。例えば、牛モモ肉などの牛肉を串に刺して焼いている牛串や豚バラ肉などの豚肉を串に刺して焼いている豚串などがあったり、豚肉で頬肉にあたるカシラや豚足、豚トロなども焼き鳥店のメニューに載っていたりするところもあります。また、北海道の室蘭市を中心とした道南地域では焼き鳥は普通、豚肩ロースなどの豚肉の事を指す場合が多く、具も玉ねぎと交互に刺してねぎまのような形で食べられています。

このような焼き鳥をスーパーなどで買ってきた際、串から外して食べる人は少なからずいらっしゃるかもしれません。たしかに、外して一つずつ箸で食べた方が食べやすいと思いますし、焼き鳥店などにおいてグループで複数種類を注文した際、外した方がたくさんの種類をシェアする形で食べ比べを楽しむこともできます。また、焼き鳥丼をつくる際には鶏肉に醤油などの下味をつけていた上で小麦粉などをまぶして、焼き鳥のタレに近い味付けを絡めるなど少々面倒な面がありますが、買ってきた焼き鳥のモモやねぎまだと、ご飯の上に外して乗せるだけで完成するので、すごく手軽に頂くことができます。さらに焼き鳥の缶詰も売っており、当然串には刺さっていません。また、焼き鳥店で、若い女性を中心に焼き鳥をそのままかぶりつく姿が恥ずかしいから外しているという人も少なからずいます。

しかし、焼き鳥店などの外食店を中心に、このように焼き鳥を串から外して食べる方法は厳密にいうとマナー違反とされています。なぜなら、料理店などで提供されている料理はその形のまま頂くのがマナーとされているからです。例えば会席料理などのコース料理において食前酒など1つずつ出るケースだけでなく、途中から天ぷらなどの揚げ物料理と、茶わん蒸しなどの蒸し料理が同時に出るケースもあり、極端な例ではありますが、天ぷらを茶碗蒸しの中に入れて食べるのがご法度であるなどが挙げられます。

その上、焼き鳥を串から外してしまうと、肉が冷めやすくなってしまうというデメリットもあり、串が刺さった状態で食べた方がより美味しく頂けることが多いとされています。また、焼き鳥店によっては焼き鳥丼がメニューとしてあるところもあるので、焼き鳥を串から外してご飯と共に食べる食べ方をしなくても済むことになります。

でも、焼き鳥店をグループで来て、串から外して食べたい場合は周囲に許可を取ってから食べるのが無難ではないかと思います。

お寿司の場合はマナーが多く、高級寿司店では特に注意が必要です

次に、ワサビや醤油を付けて食べることでマグロなどの魚の味を直に味わえる料理の1つである、お寿司も焼き鳥と同じく、回転寿司や高級寿司屋などの外食で食べることができるだけでなく、スーパーなどの1コーナーに置いている盛り合わせを購入したり、ご飯にお酢を混ぜて酢飯を作成し、大判型などの海苔とサーモンやキュウリなど幅広い具材を用意して手巻き寿司を作ったりして手軽に食べられる料理ではないかと思います。具材も先述したサーモンやマグロなどの赤身魚の他にも、ブリやエンガワなどの白身魚、イワシやサンマなどの光物系の魚など多くの種類が存在します。また、魚に限らず、イカやタコ、アワビや赤貝など他の海に生息している生物のネタも幅広く存在し、さらには卵やキュウリなどの野菜類、さらには豚バラ肉の焼肉やエビにチーズをかけた洋風寿司などの変わったネタを売っているところも存在しており、こちらもバラエティーが豊富であるという特徴があり、手軽にかつ好きなネタの味を味わえる料理となっています。

このような手軽に食べる機会が多いお寿司ですが、それに対してもマナーが存在しており、特に利用する機会が比較的少ないと思われる、「回らないお寿司屋」とも呼ばれている高級寿司店へ行って寿司を食べる際には、周囲や握っている職人さんに配慮の意思を伝えたり、自分の社会人としての常識を試したりする点などから注意をした方が良いと思います。

まず、寿司を食べる際は小皿に醤油を入れて、ネタにそれをつけて食べることが基本ですが、この際に、醤油を掛け過ぎてシャリと呼ばれている、ご飯がぼろぼろに崩れてしまうと見栄えが悪くなってしまい、あまり好ましくないとされています。なので、醤油のかけ過ぎは避けて、ネタとシャリが一体になるようにネタに醤油を付けて食べるようにした方が良いでしょう。ついついやってしまう方もいらっしゃると思いますが、ネタを剥がして醤油を付けて食べる方法はマナー違反になってしまうので注意が必要です。箸でネタをひっくり返してつけるのが難しい場合は、会社の接待などにおける公式の場を除けば、手掴みでも大丈夫なケースがあるので、周囲などの確認を取った上ならば手でつまんで食べる方法でも問題ない可能性があります。さらに、イクラなどの軍艦巻きのようにネタにつけるのが難しい場合は、きゅうりやガリに醤油を浸した上で、それを使ってネタにつける方法などがあります。また、ワサビは醤油に混ぜて食べるのではなく、ネタに少しだけ載せていただくのがマナー的には好ましいとされています。

食べ方以外にもマナーがあり、例えば寿司飯の事を「シャリ」と呼んだり、お勘定のことを「おあいそ」と呼んだりすることもありますが、これらの言葉は、お店側で使う言葉とされていることから、店内では使用しない方が良いと思います。特に後者は注意が必要ではないかと思います。

高級寿司店だけでなく、外食で寿司を食べる際に身近であるケースが多い回転寿司で食べる際は、あまり気にする点は少ないですが、一度取った皿をレーンに戻すのはマナー違反なので注意が必要です。これは焼肉バイキングの際に一度取った肉を戻すのがマナー違反とされているのと同じです。食べたいネタを欲しい分だけ取るのが一番良いでしょう。