ファミコンソフト体験記「ロードマン サイクルレース 激走!!日本一周4000km」(東京書籍、1988年)
この作品は知らない人も多いのではないでしょうか。1988年に東京書籍が作り上げたゲームですが、ゲームを普段作っている会社の作品ならまだしも、出版事業者である東京書籍がゲームを作っていたということ、これだけでも驚きです。当時、どれだけのTVゲームブームであったかというのがこのことからもわかります。自転車レースは1890年代に現在のような形式になり、1903年にあの有名なツール・ド・フランスがスタートしました。日本でもほぼ同時期に自転車レースがスタートしましたが、当時の自転車は高級品であり、富裕層のごく一部が嗜むものでした。これが1934年の日本サイクル競技連盟の創立により加速され、アマチュアスポーツ化される一方で車社会化等の減少もあり、メジャー化できずにいました。この自転車レースは当時から新聞社が拡販のために開催していることが多かったということもあり、このゲームも東京書籍が開発・発売したと思われます。
このゲームはサイクルレースによって日本を一周するといったものです。中継ポイントから中継ポイントまでを1つの面として扱われ、レースが後半になると完走するだけでは次の面に進めず、一定の順位以内に入ることが条件づけられるなど、ハードルが少しずつ上がってきます。さて、そのゲームの中身ですが、スポーツゲームであることには変わりありませんが、システムとしては連打ゲーム+縦型シューティングゲームといえば想像しやすくなるかもしれません。Aボタンを押すことで自転車を「扱ぐ」、十字キーの左右でハンドルですが、一回押すだけで45°くらい急激に曲がります。ハンドリングはかなりシビアです。特に道路が狭い面や下り坂などでスピードがでている場面では道に沿ってハンドルを捌くだけでも一苦労です。それに加えてボタン連打によってスピードをあげなければ上の順位は狙えません。
全部で20人が出走し、レースを繰り広げますが、全員が敵ではありません。20人は5人ずつ4つの国が参加しており、自国NPCとは接触しても転倒しない(当たり判定がない)設定になっていますし、自国NPCはレース開始時にそれぞれアイテムを持っています。接触するとそのアイテムを回収することができるようになっており、スピードアップ、体力回復、自転車耐久度回復等の効果があります。コースは平たんなだけではなく、アップダウンもあり、上り坂では扱いでもスピードがなかなかでず、下り坂では扱がなくてもそれなりのスピードが出ます(下り坂で漕ぎ続けると時速100km以上も!)。そんなコースを走り切ると画面が切り替わり、ゴールを演出します。
レースを進めていくと、ゴール時の順位に応じてポイントがもらえ、ためることで新しい自転車を購入できます。平坦なコースでスピードがでやすいもの、坂道でスピードのでやすいもの、自転車の耐久力が高いものとコースに応じて使い分けるのが攻略のコツです。
弱虫ペダルやシャカリキ!といったサイクルレース漫画がでたことにより、サイクルレースは最近注目されるようになってきました。古いゲームではありますが、未プレイの方でプレイ環境が整うようでしたら、ぜひ一度プレイしてみてください。ただ、ソフトは入手しづらいかもしれませんが・・・。