体が温まる辛さと、甘味・酸味・塩味・苦味・旨味の組み合わせ

辛いとはどのような感覚なのか

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まず、食べ物を食べて甘い、旨い、辛いなどの味は舌で感じることが多く、この感覚の事を味覚と言います。この味覚には甘味・酸味・塩味・苦味・旨味の5種類あり、これを五つの基本味と呼ばれていることもあります。しかし、この中には唐辛子などを食べて感じることが多い辛味が入っていません。なぜなら、基本味を舌で感じる際、先述した5種類ごとに感じる部分が別々に存在していて、食べ物などに含まれている対象の物質が入ることで、その味を感じることができますが、辛みの場合は対象の物質が直接、舌に対して刺激を与えることで、これを辛いと感じることになるからです。ちなみに同じ仕組みで舌に感じる感覚としては淹れたてのお茶などを、いきなり飲んだ時に感じることが多い「熱い」や「痛い」という感覚などがあります。現に、辛い料理を食べた後に舌がヒリヒリすることもあることから、これらの感覚は似ているものであると考えられます。

つまり、辛いという感覚は舌で食べ物自体を美味しいと感じるというものであるというよりは、熱さや冷たさを舌で感じるものに近い感覚であると言えるのではないかと思います。

辛さにも種類がある

そのような辛さを与える食べ物は色々ありますが、食べ物に含まれる材料で作用されることが多いです。辛さとしては舌をはじめとして体全体に与える刺激によって、唐辛子のような、熱さを感じるものなど主に3種類に分類されることがあります。

まず、体を温める効果があるものとして唐辛子や胡椒などのスパイス系があり、先述したような熱さやヒリヒリとした痛さを舌に与えるのが特徴です。このような効果を与える材料としては、他にも洋食で用いることが多いタバスコやラーメンなどに用いられるラー油、韓国料理で用いられるコチュジャンなどの辛い系の味噌などがあります。

逆に、体を冷やす効果があるものとして、ワサビや葱などがあり、舌や鼻にツーンとした刺激を与えるのが特徴です。この他にも、大根やニンニクなども該当します。

同じく、体を冷やす効果があるものの、スパイス系を食べたような発汗作用があるとされるものとして、山椒や生姜などがあり、前者の場合は痺れるような感覚を舌に与えるのが特徴です。先述したものも含めて主に和食系統で使われることが多くなっています。

これらのように、体が熱くなる辛さは中華や洋食などの料理に多くあり、和食料理の場合は清涼感を与えるような辛さである物が多くなっています。これら以外にも、強い塩味やミントなどの刺激も辛さとして捉えることがあります。ちなみにアップルパイなどで用いられるシナモンも、そのまま食べるとピリッとした感覚が得られることから辛い食べ物であると言えます。このように辛いとされている食べ物は、おやつなどのデザートにも使われる場合があります。

ちなみに、胡椒や山椒の「椒」には香辛植物という意味があることから辛味を与えるものであると推測しやすくなっています。この字を用いたものとして他にも花椒や辣椒(などがあり、前者は山椒、後者は唐辛子に近い位置づけの香辛料として中国の四川料理などで用いられることがあります。また、ラー油は辣椒油と書かれることもあります。

辛さにも量によって強弱が決まることが多い

先述した、5つの基本味として甘味・酸味・塩味・苦味・旨味がありますが、この味を強く感じるか否かに関しては、その味を与える材料が含まれる割合によって決まることが多いです。例えば、モモなどのフルーツにおいて、生のまま食べた場合、甘いこともありますが、物によっては酸っぱかったり何も味がしなかったりします。しかし、缶詰で売られているモモだと、しっかり甘味が感じられることが多いですが、これは缶詰の中にシロップが入っていて、このシロップに砂糖などの糖分が多く入っているためだと考えられます。

同様に、辛さの場合も、それを与える唐辛子や胡椒などのスパイスの量が多い程、辛口の味になることが多いです。例えば、外食のカレー屋さんにおいて4辛や9辛などように区分されているところもありますが、これは唐辛子をベースにしたスパイスを計量スプーンで入れた量に応じて決めています。

ホット系の辛い4種類の料理の例

先述したように辛い料理としては色々な種類がありますが、以降は舌などに熱さを与えるタイプのものについて扱っていきます。

このようなタイプの辛さを与える料理としては、主に唐辛子や胡椒などのスパイスを用いた料理を指し、麻婆豆腐などの四川料理やカレーなどのインド料理などアジア地域だけでなく、南米ではチリソースを用いたタコスなどがあり、ヨーロッパでも唐辛子をたっぷりかけたペペロンチーノなどがあるなど、世界各地に存在していますが、今回は有名なものとして、四川料理・インド料理・韓国料理・西洋料理の例を取り上げていきます。ちなみに日本で作られたとされている辛子明太子もタラコに唐辛子などを漬け込んで作られることから、このタイプの辛い料理も存在することになります。

まず、四川料理では主に唐辛子や花椒等の香辛料が用いられることが多く、具体例としては麻婆豆腐や麻婆茄子といった麻婆系の料理があり、唐辛子とニンニクが使われることが多いです。中華系の麺料理である担担麺も該当し、花椒とラー油が辛味として使われるケースが多くなっています。また、ケチャップなどのトマト系のソースに唐辛子やニンニクなどのスパイスを混ぜて作られるチリソースを素揚げか天ぷらのような感じに仕上げた海老にかけていただくエビチリは日本で作られたものですが、これは四川料理の乾焼蝦仁(カンシャオシャーレン)がルーツとされています。

インド料理で辛い料理として有名なのはカレーで、ターメリックを始め、唐辛子に近いカイエンペッパーやスパイスの一種であるガラムマサラなど様々な辛味をつける材料から作られるのが特徴です。種類もベーシックなチキンカレーや挽肉ベースのキーマカレーの他にもアルジラやアルムリマサラなど野菜をベースにした現地のカレーもあります。

韓国料理では辛い料理として有名なのは白菜などの野菜を唐辛子などの漬け汁につけて作られるキムチですが、これを用いたチゲ鍋やクッパ、同じく唐辛子ベースのたれを用いるヤンニョムチキンなどのヤンニョム系料理も辛いです。また焼肉としてベーシックとされているサムギョプサルの場合、コチュジャンという辛い味噌がタレとして使われることもあります。

西洋料理での辛い料理の例としては唐辛子を多く使うイタリア料理のペペロンチーノが例として挙げられます。スペインなどの南欧系料理のパエリアやリゾットなどにはスパイスとしてサフランが使われますが、これは余り辛くないことが多いです。

辛味と五つの基本味をミックスするとどうなるか

最後に、スパイシーな辛味と先述した5大基本味である甘味・酸味・塩味・苦味・旨味が混じったら、どんな味になるのかを取り上げてみたいと思います。まず甘味を試す例としては卵や天ぷらなどがあり、辛さがある程度、緩和されて甘味として入れた材料も味わえる可能性があります。ただ、純粋な辛さを味わいたい場合は逆効果になるので注意が必要です。酸味の場合は、両方の味を楽しむことができる可能性があり、具体的には酸味としてお酢を入れる酸辣湯(サンラータン)などがあります。塩味の場合も同様であり、先述したペペロンチーノではパスタを茹でるときに塩の味付けをする上、メニューによってはハーブソルトなどを入れることもあります。苦味の場合は、それ自体を味わう料理はゴーヤや魚のワタなど限られており、これを緩和する手段の1つとして辛味を加えることもあり、例えばピリ辛ゴーヤチャンプルなどは苦味が少なくおいしいという評判もあります。旨味は鰹節など、主に出汁などに含まれることが多いため、それ自体の味は薄いことが多く、辛みとセットで食べると巧者の味しかしない可能性があります。