応用が利きやすいレトルトカレーの魅力とは

レトルトカレーとはレトルト食品のパイオニアかつ代表メニューである

そもそも、レトルトカレーとはレトルト食品のカレーライスを作るための製品のことであり、このレトルトは外国語で「retort」と表記されますが、これは英語ではなくオランダ語に由来するという説があります。ちなみに英語でも、この「retort」に対する意味はありますが、「言い返す・口答え」や「蒸留器」という意味で、この話題での意味とは異なります。

そして、レトルト食品はしっかり密封でき、且つ光などを通さない容器に食品を入れて加熱・加圧・殺菌をしたものと定義されており、英語で小袋など袋状の意味の1つであるパウチを入れてレトルトパウチ食品が正式名称であるとされています。ちなみに、桃缶や鯖缶などの缶詰類の食品も、このレトルト食品に含まれることもあります。

このレトルト食品ですが、ルーツとしてはアメリカ軍の軍用食として使われたものであるという説がありますが、一般食として世界で売り出したのは日本であり、その種類がカレーでした。具体的にはレトルトカレーの中でも辛い方に区分される大塚食品が製造しているボンカレーが今からほぼ50年前に関西地方で販売したのが最初でした。その1年後にカレーを入れる袋の材料を変更するなどして、賞味期限を延ばした上で全国的にリリースされました。ちなみに現在は作られてから賞味期限を迎えるまで凡そ2年になっている製品が多い傾向にあります。45年ほど前からテレビCMなどの媒体を利用したり、他社との販売競争が始まったりしたことで次第に普及するようになりました。

つまりレトルトカレーはレトルト食品のパイオニアと言っても過言ではないかと思います。そしてレトルト食品の中でレトルトカレーが占める割合は約3分の1となっていて、他のレトルト食品のパスタやご飯といった主食やハンバーグやスープなどのおかず類などを抑えて幅広く普及している代表的な食品であると言えると思います。

レトルトカレーは格安から名産品入りの高級なものまで幅広いタイプがある

ハウス カリー屋カレー中辛 200g×10個

このように誕生して間もなく半世紀を迎え、レトルト食品の代表的メニューの1つとして知られていることが多いレトルトカレーですが、この50年の間で様々な種類が誕生するようになり、ただご飯にかけて頂く料理以上に奥が深いものとなっていきました。まず、一般的にスーパーやコンビニなど売られているレトルトカレーの値段としては通常価格で100円台~200円台の所が多いですが、全体的に価格が安いスーパーで購入したり、4~5個などセットで売られているものを買ったり、安売りセールの時に買った場合は100円を切るケースもあり、有名な企業の物ではなく、ある意味レアな商品ではあるものの、中には1食あたり60円ぐらいのレトルトカレーもありました。

レトルトカレーも食パンや菓子パンのようにトレンドに応じて毎回製品がリニューアルされたり新商品が発売されたりしており、特に前者の場合、値段は300円台の物など、先述した一般的なものよりも割高になる傾向があります。そして有名ホテルが監修されたレトルトカレーや中に入っている具材が前者のように小さくかつ少ないものでなく、大きい具材で且つたっぷり入っているレトルトカレーでは400円を超えるものもあり、特に神戸牛や常陸牛などのブランド牛肉や伊勢エビなどといった高級食材をふんだんに用いたレトルトカレーの場合は1000円を超えるものも存在し、例として常陸牛を用いたレトルトカレーでは2000円以上するものも存在しています。

さらに、レトルトカレーというと全国のスーパーのどこにでも置いている前者のようなタイプを想像することが多い方と思いますが、最近ではチョコレートやポテトチップスなどのお菓子のように地域限定のレトルトカレーも登場しています。このようなタイプを買うためにはもちろん、現地に行って買うことが第一の方法ですが、インターネットには地域限定のレトルトカレーだけを取り揃えたサイトも存在しており、これを用いれば送料がかかる可能性はあるものの、手軽に取り寄せて食べることができます。このような地域限定のレトルトカレーは100円台のような格安の物でなく、全体的に1食あたり500円前後の値段がするものが多いですが、例えば北海道のホタテや京都の京野菜などといった地域で有名なものが入っているものや、東京での有名高級ホテルで出されているものなど幅広く存在しています。中には、イチゴやメロンなどのフルーツが入っているものもありました。これらのように格安以外のレトルトカレーも年1回など余裕があれば食べてみる価値はあるのではないかと思います。

レトルトカレーの場合でも、辛さは辛い成分の量で決まる

レトルトカレーを含めて、カレーライスには甘口から大辛まで辛さによって様々な種類がありますが、これは辛さを与える唐辛子や胡椒などのスパイスの量で決まることが多い傾向があります。また、同じメーカのカレーでも種類によって、同じ中辛でも辛さのレベルが違うことがあります。例えば、ハウス食品で甘さベースのククレカレーとしっかりとした辛さがベースのジャワカレーではレベルが2段階異なります。これらのカレーには含まれている成分の割合が異なっていることが多く、例えば前者は牛豚混合脂という油分が後者よりも高い割合で含まれていることによって、辛みが和らげられ易かったり、逆に辛味を直に与える香辛料の割合が低く抑えられたりすることによって、辛さのレベルを下げているものと考えられます。なお、この辛さのレベルは多くのメーカにのっている辛味順位表を見れば同じメーカならば辛さを推測できる可能性があります。ただし、異なるメーカでは指標が異なることが多いので注意が必要です。これと似たような事例として一番、辛い区分とされていることが多い、大辛のカレーでも種類によって入っている材料などが異なっているため、辛さや味わいが違っており、和風ベースの調味料でまろやかな辛さが味わえるタイプや、ハバネロなどの激辛な調味料が入っていてただ単に激辛を楽しめるタイプなどがあります。

ちなみに、大手の有名カレーチェーンで2辛や10辛のように区分されていますが、これも唐辛子をベースにしたスパイスを計量スプーンで入れた量に応じて決まっているそうで、カレーライスの辛さはスパイスの量に応じて決まることが多い傾向にあります。

レトルトカレーは付け合せからライス以外にも応用が利きやすい

レトルトカレーのメリットとしては、ご飯にかけてすぐに食べられることなどが挙げられますが、それ以外にも応用が利きやすい点が挙げられると思います。勿論、手作りのカレーでも、これから紹介するアレンジ方法を試すことができますが、レトルトカレーならば思い立ったら直ぐに試すことができることが多い上、時間もそれほど、かからないので面倒な思いをせずに楽しめる確率が高いのではないかと考えられます。アレンジ方法にもただ1つ材料を追加するものから、別に本格的な食べ物を作成して組み合わせるものなど幅広い方法がありますが、今回は前者の簡単なものについて紹介してきたいと思います。

まず、レトルトカレーを普通にカレーライスとして食べる場合の例について、まずは辛い物をさらに辛くするという目的で胡椒や一味唐辛子などのスパイスを増量する方法が挙げられます。また、大辛のカレーライスにキムチを入れてさらに辛くする方法もあります。キムチの場合は単なるスパイス的な役割の他に漬物の甘味も含まれているので、カレーの味に幅を持たせることができると考えられます。また、辛さにはカレーや唐辛子のようなスパイス的な辛さの他に山椒やワサビといった、瞬間的に清涼感を伴う辛さを与える香辛料を入れる方法もあり、レトルトカレーの中にはわさびカレーとして売られているものもありました。辛さの種類が異なり、良い組み合わせならば口に入れたときに瞬間的な清涼感と、その後に感じられるカレー本来の熱い感覚の双方を楽しめる可能性が高まります。

レトルトカレーを含めて、カレーライスは辛いだけでなく、甘口のカレーもあり、そのようなカレーにはリンゴや蜂蜜などの甘味の基となる材料が含まれていることが多くなっています。このような甘口のカレーライスに対して、これらのような材料を食べやすくスライスするなどして加えればさらに甘くなって甘口としてのレトルトカレーが味わえるのではないかと思います。例えば、はちみつ梅やヨーグルトや卵を入れても美味しいかもしれません。

ここまでに紹介した手法を用いれば、辛口のカレーライスを甘口に変えたり、逆に甘口のカレーライスを辛口に変えたりすることは可能ですが、カレー本体との相性によっては2種類の辛さが混在してしまうなど、合わないことも考えられますので、色々と試してみることが重要ではないかと思います。

レトルトカレーをカレーライスとしてではなく他の主食として食べる方法もあります。有名なものとしてはカレーうどんがあり、カレーうどんに必要なうどんや長ネギ等の具材を用意して、これを作る工程でカレールーを加える代わりにレトルトカレーを使うことによって、作ることができます。同様の方法でカレーそばも作成することができます。同じ麺類でもパスタにも合うという評判もあることから、パスタソースとしてレトルトカレーを使う方法も考えられます。また、麺だけでなくパンなどの他の主食に対しても使うことができ、これらと、とろけるチーズを用いてチーズカレートーストを作れば朝食やおやつにもなりうると思います。さらに、冷凍食品のグラタンやドリアにかければカレーグラタンやカレードリアとしても頂くことができます。特に後者は洋食を扱っている外食などのメニューとして存在しているところもあります。

これらのようにレトルトカレーは色々と手法を試すことができる材料の1つと言っても良いのではないでしょうか。