映画好きが選ぶ本当に演技が上手いジャニーズ映画俳優ランキング
2014年度・第38回日本アカデミー賞でのジャニーズ所属俳優の賞レース参加、解禁。解禁した途端、V6の岡田准一が映画「永遠の0」「蜩ノ記」の2作品で最優秀主演男優賞・助演男優賞を獲得し、大いに話題になりました。
過去に、映画「武士の一分」で木村拓哉(当時SMAP)が日本アカデミー賞の優秀主演男優賞を辞退したことがあり、「ジャニーズは映画の賞レースには参加できない。」というのが、業界の常識のようになっていました。
その理由として挙げられるのは、
1.同じ年度に何人ものジャニーズ俳優が同時ノミネートされた場合、一人しか獲ることができない。
2.ノミネートはできても最優秀賞を獲ることができるだけの実力がある俳優がいない。
ということなどが取り沙汰されていました。
しかし、近年、岡田准一や二宮和也といった日本映画界の巨匠に愛される俳優やハリウッド作品のメインキャストとして出演し、各界から称賛され、彼らが「賞レースに参加するためにジャニーズを辞めるか?辞めないか?」と悩んだり、彼らに続き、映画のフィールドで活躍するジャニーズ所属の俳優が増えてきた経緯から、2014年度からの「賞レース解禁」となったのだと憶測されます。
今回は、年間約200本の映画を鑑賞し、ジャニーズ俳優に特に好きな俳優がいるわけでない筆者が選ぶ(つまりただの映画好き)、「本当に演技が上手いジャニーズ映画俳優」をランキング形式でご紹介します。
1位 岡田准一(V6)
コメディー、ヒューマンドラマ、時代劇、アクション、エンタメなどジャンルを問わず、さまざまな映画作品に出演している岡田准一。今回、ランキングでご紹介させていただくジャニーズ俳優の中では唯一、スタジオジブリ作品(映画「ゲド戦記」「コクリコ坂から」)での主演声優経験とNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」で主演経験があるジャニーズ実力派俳優の筆頭。欠点があるとすれば、ラブストーリーが苦手で、なるべく避けて通っているところでしょうか。
自他ともに認める武術オタクで、カリ、ジークンドー、USA修斗のインストラクター資格を持っています。その経験は、映画「SP THE MOTION PICTURE」「図書館戦争」シリーズなどで存分に生かされており、リアルで迫力のあるアクションシーンを観ることができます。
代表作は、映画「天地明察」「図書館戦争」シリーズ、「永遠の0」など多数。特に「永遠の0」のクライマックスシーンでの、特攻前に憔悴しきり、すべてを諦め絶望し、それでもなお、一筋の光を信じているあの表情とオーラはどうやって作ったのだろう?とゾッとするほど圧倒されます。本作と映画「蜩ノ記」で、2014年度・第38回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞と助演男優賞を初ノミネートにしてW受賞。岡田の念願の日本アカデミー賞での涙のスピーチは、日本アカデミー賞史に残る、胸が熱くなる場面でした。
「永遠の0」の山崎貴監督のチームとは、2016年の映画「海賊とよばれた男」で再タッグを組んでおり、今後もこのチームで映画が制作される可能性が高いです。2017年は、映画「関ケ原」への出演が決まっています。また、2017年に映画「追憶」でタッグを組んだカメラマンの木村大作が監督する3作目の映画「散り椿」(2018年公開予定)への出演も決まり、撮影がスタートしたばかり。本作では西島秀俊との共演が決まっており、演技を超えた本物を求めるストイックな木村、西島、岡田がどのような時代劇を魅せてくれるのか?今から期待が寄せられています。
2位 二宮和也(嵐)
映画「GANTZ」「プラチナデータ」などスタイリッシュなアクション映画や、映画「大奥」「母と暮せば」など時代劇や戦争ものを演じることが多い二宮和也。2006年に出演したクリント・イーストウッド監督の映画「硫黄島からの手紙」では、オーディションで二宮の演技を見たイーストウッドが主人公の年齢設定や脚本を変え、二宮を抜擢したエピソードは有名です。本作で二宮は、とても自然に戦時中に息づいた若者を演じています。その演技力は世界に認められることとなり、CNNの「まだ世界に名前が知られていないが演技力のある日本の俳優7人」に選ばれています。
2015年に出演した山田洋次監督の映画「母と暮せば」では、第39回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。スピーチで「新人と言われている時に新人賞を貰いたかった。」と発言していたのが印象的です。2017年は、滝田洋二郎監督の映画「ラストレシピ〜麒麟の舌の記憶〜」に主演、2018年には原田眞人監督の映画「検察側の罪人」で木村拓哉とW主演することが決まっています。国内外問わず巨匠と言われる監督たちの映画に立て続けに出演する二宮の躍進から目が離せません。
3位 風間俊介(無所属)
1999年のジャニーズ枠として出演したTBS系ドラマ「金八先生」シリーズで当時16歳にして圧倒的な演技力を発揮し、一躍注目を集めた風間俊介。ジャニーズで演技派といえば、風間の名前が一番に上がることも多いです。しかし、その後、グループとしてデビューすることもなく、着実にドラマや映画の脇役や舞台出演で実力をつけていきます。グループに所属せずに、ジャニーズで単独ホームページを持っている異色の存在。
映画の出演も多くはありませんが、映画「映画 鈴木先生」「後妻業の女」など、「社会で普通に生きてきたけれど、いつの間にかドロップアウトしてしまった」というような、誰もがなりうる危険を秘めた役柄を演じるのが、とても上手いです。2016年は、主演作映画「猫なんかよんでもこない。」を含め、5本の映画に出演。2013年に結婚を発表しても騒がれず、毎年恒例のジャニーズカウントダウンライブにも参加せず(たまに参加しています。)、我が道を柔らかに突き進む風間には、今後も作品のスパイスになる存在でいて欲しいです。
4位 森田剛(V6)
ジャニーズJr.として活動していた1994年頃から多くのドラマに出演していた森田剛。21世紀に入ってから、テレビであまり観なくなったなと思ったら、いつの間にか、舞台で宮本亜門、蜷川幸雄、劇団☆新感線など、著名な演出家や劇団の間で引っ張りだこになっていました。
森田の持ち味はいつまでも少年のまま、反骨精神がなくならない佇まい、演技で狂気さを出すのではなく、元からそれが備わっている凄味です。その最たる作品が、2016年に初主演をした映画「ヒメアノ〜ル」。「めんどくさいから殺していい?」というキャッチコピー通り、3度の飯を食べるように人殺しをするサイコパスの森田正一役を、どこまでも狂気さが上がり続ける怪演で圧倒しました。とはいえ、1日に3人も殺すシーンなどがあるとさすがに心がささくれ立ったそうで、そんな時は撮影合間にペットショップに行き、気持ちを落ち着かせて、また撮影で人を殺しての繰り返しだったそうです。2016年は蜷川幸雄の遺作となった追悼公演・舞台「ビニールの城」で座長を務めた森田剛。もう舞台で確固たる地位を確立しているので、その溢れ出る異質さを今後は映画でも多く披露して欲しいです。
5位 生田斗真(無所属)
岡田、二宮と並び、グループデビューせずに早くから、ジャニーズ映画班として活動している生田斗真。しかし、彫りが深く日本人離れした美形のため、映画「源氏物語 千年の謎」の光源氏役や「脳男」のような圧倒的美男子の役か、映画「シーサイドモーテル」「土竜の唄 潜入捜査官REIJI」のような振り切った三枚目の役ばかりで、なかなか一定以上に演技の幅を広げられずにいました。一般的に日本だと城田優、海外だとレオナルド・ディカプリオのように美し過ぎる顔立ちの俳優は、仕事が限られ、名演を披露しても世間にはなかなか認めてもらえないという現状があり、生田の場合もそれに当てはまります。
しかし、2017年の映画「彼らが本気で編むときは、」でLGBTの女性・リンコ役で、生田は一皮剥けたように感じました。生田自身も「俳優人生の中で最も苦労した役」と話しており、撮影期間の1ヶ月はマニキュアを落とさず、自宅に帰ってからもスカートを履いて過ごすなど、役で居続けることを徹底したそうです。そんな生田が演じた劇中のリンコからは、彼女の母性、切なさ、悲しみ、強さ、愛情が入り混じった複雑な感情がたくさん伝わってきて、素晴らしい作品に仕上がっています。間違いなく、生田のターニングポイントとなった作品でしょう。
2017年10月には、広瀬すずと共演する映画「先生!」の公開が控えています。生田は教師役も初めてなので、どんな風に演じてくれるのか楽しみですね。
6位 中島裕翔(Hey! Say! JUMP!)
若手ジャニーズの中では珍しく、178cmという高身長を生かし、早くから男性ファッション誌でモデルとして活躍している中島裕翔。2017年現在は、雑誌「MEN’S NON-NO」でレギュラー・モデルを務めています。デビュー当時のHey! Say! JUMP!では、山田涼介や知念侑李がメインボーカルだったため、それほど目立つ存在ではありませんでしたが、徐々にドラマの脇役で頭角を現します。2013年に大ヒットしたTBS系ドラマ「半沢直樹」では主人公・半沢の部下役を好演。良い意味でジャニーズらしくない堅実な演技で「あの子ジャニーズだったの!?」と世間を驚かせました。その後もドラマで着実にキャリアを重ね、2016年の映画「ピンクとグレー」でスクリーンデビュー。表と裏の顔で苦しむ主人公を憂いのある演技で見事に演じました。
2017年の映画「僕らのごはんは明日で待ってる」では、直球ラブストーリーの主人公でしたが、ここでも悩んだり落ち込んだりと等身大の若者を熱演。ジャニーズらしからぬ、キラキラしていない等身大の若者といった風貌で、役柄が抱えている悩みや陰の部分も表情や台詞回しできちんと表現できるところが、中島の魅力なのだと思います。インタビューなどで「俳優業は人生経験が糧になる」「お芝居においてビジュアルではないもので勝負したい」など、23歳の若者とは思えない、しっかりしたビジョンを持って演じていることも、監督や共演者、観客に支持される所以なのではないでしょうか。
7位 中居正広(無所属)
1998年から2016年にかけてSMAPのリーダーとしてジャニーズ黄金期を支えてきた中居正広。デビュー当時、アイドルが歌だけではやっていけなくなってきた時代に突入していたので、中居は早くからバラエティー番組や司会業に未来を見出していました。当時から映画にはあまり出演しておらず、ドラマもラブストーリーが苦手とあって、司会業が本格化するにつれ、演技からは離れてしまっている印象がありました。
しかし、歌以外は何でも器用にこなす中居は、演技も抜群に上手いのです!トップアイドルとしてのオーラが備わっているので、映画でも画面を引っ張るだけの力もあります。映画はこれまでに8本しか出演していないのですが、おすすめは2002年の映画「模倣犯」と2008年の映画「私は貝になりたい」。宮部みゆき原作のトリック・ミステリー「模倣犯」では、名バイプレイヤーの津田寛治と渡り合う演技で魅せ、「私は貝になりたい」では戦犯となってしまった主人公をシリアスに魅せています。中居は元々、綺麗な顔立ちなので、バラエティー番組とは真逆の繊細な演技であればあるほど上手いのです。しかし、本人が演技にさほど興味がないようなので、もったいないなぁと思うしかないのですが・・・。ああ、もったいない!!
8位 松本潤(嵐)
ジャニーズの中でもトップクラスで主演及びヒット作が多いマツジュンこと松本潤。しかし、松本の演技は「木村拓哉は何をやってもキムタク」と言われることがあるように、「何をやっても松本潤」と言われています。しかし、それでも一般層にも受け入れられているのは、松本の持つ「上品さ」と「セクシーさ」なのではないでしょうか。
2005年の映画「東京タワー」では、当時21歳ながら寺島しのぶの不倫相手を色気たっぷりに演じています。実力派女優の寺島の相手を呑まれることなく演じていることも凄いですが、特に筋肉質でもない細身の身体から醸し出されるセクシーさに、世の女性たちはノックアウトされたに違いありません。2007年の映画「僕は妹に恋をする」でも、禁断の恋にチャレンジ。どちらの作品も、松本の持つ上品さで、とても綺麗でドキドキしてしまうラブシーンに仕上がっているので、お勧めです。
2017年は10月公開予定の映画「ナラタージュ」で、またもや禁断の純愛、「不倫」+「教師と生徒」という設定で、松本は教師・葉山貴司役を演じています。葉山は弱さと狡さと、それでもなおヒロインを惹きつけて止まない純粋さと色気を併せ持った男性で、大人になった松本がどう演じてくれるのか、今から楽しみです。
9位 重岡大毅(ジャニーズWEST)
関西ジャニーズ出身のジャニーズWESTのメンバーとして活動している重岡大毅。2014年にCDデビューしたばかりで、ドラマも映画もそんなに多く出演しているわけではないのですが、与えられた役をしっかりこなし、ジャニーズ・ファン以外にも印象を残しています。例えば、2014年の宮藤官九郎脚本のTBS系ドラマ「ごめんね青春!」の声が高い海老沢ゆずる役、2016年の映画「殿、利息でござる!」で主人公を演じた阿部サダヲの息子役など。
ジャニーズですが、とびきり美形というわけでなく、どこにでもいる青年の風貌と、関西仕込みのボケツッコミの瞬発力の高さが、長い目でみれば重宝されるのではないかと思います。特に、2016年の映画「溺れるナイフ」では菅田将暉、小松菜奈、上白石萌音という最旬の若手実力派俳優たちの中でメインキャストを演じ、その実直さが好印象として残っています。これからもジャニーズのゴタゴタに巻き込まれずに、良作に恵まれてくれればいいなと願います。
10位 中島健人(Sexy Zone)
メディアに出る出ないに関わらず、常に王子様キャラを徹底していることから「ラブホリ先輩」の愛称で知られる中島健人。演技面では、2014年のテレビ朝日系ドラマ「黒服物語」や映画「銀の匙 Silver Spoon」ではキラキラオーラを封印し、ごく平凡な大学生役を好演。2016年の映画「黒崎くんの言いなりになんてならない」では、ドSキャラを色気たっぷりに演じています。まだ俳優としてのキャリアは長くないので、アクションや時代もの、ヒューマンものなどのポテンシャルは未知数ですが、これまでの作品を通して、現代の若者が持つ、何でも軽やかにこなしていく器用さを感じます。王子様キャラのボロが出ないのも、中島自身のセルフプロデュースが完璧だからこそ。
2017年は、映画「心が叫びたがってるんだ。」「未成年だけどコドモじゃない」に出演予定。どちらも人気のあるアニメ、漫画の実写化なので、中島の演技の力量が問われる作品になるでしょう。
ジャニーズ所属俳優に共通して言えるのは、普段の歌手・ダンス活動で鍛え上げられた身体能力の高さ、その場で状況や台詞が変わっても臨機応変に対応できる瞬発力です。あとは、これは演技力とは関係ありませんが、マスコミ対応の上手さでしょうか。
映画はメディアでどれだけ宣伝ができるか?が、かなりヒットを左右する要因ですので、たとえ主役でなくとも、彼らを使いたいと思う制作陣はこれから増えてくると思います。「ジャニーズ枠」「出来レース」などと言われないように、ジャニーズ事務所の中だけではなく、広く日本映画界、しいては世界で活躍できる映画俳優を目指して切磋琢磨していって欲しいですね。
(文 / Yuri.O)
最後に、お得な情報をひとつ。「シネマイレージカードセゾン」というカードがあります。年会費は初年度無料で、2年目以降は300円(税抜)かかるのですが、映画をよく見る人にはとてもお得なカードです。
まず、TOHOシネマズで映画を6本観たら、お好きな映画に1本無料でご招待する、というスタンプラリーがあります。それから、TOHOシネマズで上映される映画を見ると、上映時間1分 = 1マイルの計算でマイルが貯まります。貯めたマイルは特典やオリジナルグッズと交換できます。
更に、このカードをハピタスというサービス経由で申込してカード発行が完了すると、それだけで2400ポイントもらえます。年会費8年分がポイントとして還元されるので、興味のある方はどうぞ。