不眠症との長き終わりのない戦い「ぼくは眠れない」

2018年4月7日

Amazon | ぼくは眠れない (新潮新書) | 椎名 誠 | さ行の著者 通販

椎名誠と言えばベストセラー作家であり、アウトドアが好きでビールも好きで楽天的な部分もあり真面目な部分もあり、多くの読者に親しまれている存在でしょう。

そのような椎名誠さんでも不眠症になっていたということに驚きとその事実を読んでいくとどのようなきっかけで、不眠症になるか分からないと感じさせられる内容です。世間一般にも不眠症という言葉は知られており、寝るための市販薬もあるくらいで、少し眠れないくらいであれば、今の時代は良くあることだと言われてしまうかもしれません。

椎名誠さんは35年間もの間不眠症でした。不眠症の始まりは突然だったようです。早朝というよりも深夜に起きてしまうというのです。そして、それが繰り返されていくと。眠れなくなってしまうときの心情とはどのようなものでしょうか。寝たいけれど眠れない、ジレンマ、もどかしさがあったことでしょう。

そして、不眠症との戦いが読みやすく書かれています。普通の人の不眠症と違う点では、治療や療養に専念したくてもなんとか持ちこたえていたときの、追い討ちをかけるようなストーカー事件があり、外的な普通ではあまり起き得ないことが不眠症の悪化の要因のようです。眠りにつきたい気持ちがあり、寝るためにハンモックであったり様々な眠り方をしてみたり、眠る必要性を考えたりと、眠りについて考えない日が1日たりともなかったのだろうということが読んでいると分かります。そして、精神科受診や手放せなくなる睡眠薬との出会いもあります。睡眠薬は良く手放せなくなりそれがないと眠れないと言われます。また、泊まりのときのお守りだということも言っています。

不眠症がひどくなれば毎日でも薬は欠かせなくなるし、ビールなどのアルコールも睡眠薬とは一緒に飲めないため、お酒に感する制限も出てきてしまいます。良く寝酒と言いますが、睡眠薬と一緒にお酒を飲んでしまうとひどいと幻覚や幻聴なども生じてしまいます。お酒を夜に飲みたい人にとっては睡眠薬からなるべく離れたいという思いが強くなるでしょう。

不眠症の怖さといつなるか分からないということ。そして、誰にでも訪れることかもしれないこと。彼の体験から不眠症の人にとってもそうでない人も眠りについてまた、安定した暮らしについて考えるきっかけを与えてくれる一冊です。