アクロバティック相撲で有名な宇良関

宇良関のプロフィール

宇良関は平成4622日に大阪府寝屋川市で誕生し、現在25歳です。本名は宇良和輝であるため、田子の浦部屋所属で活躍している大関の高安関と同様に本名のまま相撲を取っている力士の1人です。ちなみに出身地は境川部屋所属で幕内最高優勝を1回経験するなどの実績を有している大関の豪栄道関と同じとなっています。

出展:力士プロフィール – 宇良 和輝 – 日本相撲協会公式サイト

宇良関は現在、体重が135kgで関取として、一時、宮城野部屋所属の石浦関に次いで2番目の軽量力士として話題になるほどでしたが、誕生したには、既に4kgを超えており、小学校に入る前から相撲経験を有していました。小学校中学年になると相撲に加えてレスリングを始め、スポーツ経験としては、この2つを中学卒業まで続けました。

高校時代は京都府内の公立校の相撲部に属し、大学へは推薦で関西学院大学へ進学しました。そこで、肉体改造に励むなど努力した結果、3年生の時に、ロシアで開かれた相撲軽量級の国際大会で優勝したり、4年生のときに全国学生相撲個人体重別選手権の無差別級で3位の成績を残したりする実績を残すことができました。そして大学卒業後の平成27年春場所に元幕内肥後ノ海が師匠を務めている木瀬部屋に入門して初土俵を踏みました。

角界に入門すると、実力を直ぐに開花させることができ、負け越すことなく、入門して1年余り経った平成28年夏場所で関取の座をつかみ、入門丸2年後には新入幕を果たしています。今年の秋場所における取組中に右膝の靱帯を痛めて途中休場し、今場所も休場するため、来年は十両で相撲を取ります。

レスリングを活かしたアクロバティックな取り口で人気力士へ

大相撲には決まり手として押し出しなどの基本技に加えて、上手投げなどの投げ手、外掛けなどの掛け手、とったりなどの捻り手、たすき反りなどの反り手、叩き込みなどの特殊技に区分されますが、お目にかかる割合が少ないのは反り手であると考えられます。理由としては、ルール上、自分の足以外が土俵についた地点で負けになってしまうことが挙げられます。

例えば、居反りのように相手の膝を押し上げて後ろに反って倒す場合、失敗すれば相相手の体に土をつける前に自分の体が土俵についてしまうリスクが高く、そうならない様な高い体力と技術の両方が必要になります。

宇良関の場合、レスリング経験者という角界では珍しい経歴を持っているため、普段お目にかかりにくい反り技や足取りなどを用いて攻めていくアクロバティックな内容に自然と注目が集まりやすく、関取に昇進したあたりから人気力士の1人として数えられるほどになりました。

懸賞金制度は外部へアピールできる絶好のチャンス

大相撲では、午後4時ごろから行われる幕内の取組から懸賞を付けることができるようになります。この懸賞を賭けるのは企業などのスポンサーが中心となっています。具体的に懸賞1本あたり62,000円が必要で、1つの取組で最大5本まで、かけられるようになっています。ちなみに、この金額は平成26年夏場所から適用されたものであり、それまでは16万円でした。また、その頃までは先述したような企業だけでなく、個人単位でも懸賞を賭けることができましたが、その時を境に現在は禁止されています。

懸賞を賭けると、取組前の仕切りの時間に土俵上で呼出と呼ばれる職員により懸賞旗という形でキャッチフレーズなど紹介したい内容や企業名を紹介できたり、場内アナウンスや当日に観戦に訪れた観客全員に配られる取組表に懸賞金がかかった取り組みとして枠内に紹介できたりするため、外部へのアピール方法の1つとして機能する仕組みになっています。このため、優勝がかかった大一番や、追手風部屋所属の遠藤関などのようにテレビなどのメディアで紹介された人気力士が出場する取り組みは相撲ファンならず、一般的にも注目されがちなので、ここに懸賞を賭けると自社のことを外部にアピールしやすくなります。

したがって、実力のある力士だけでなく、人気力士に対しても多くの懸賞がかかる傾向にあり、懸賞金が賭けられた自分の取り組みに勝利することで、自然と貰う懸賞金の金額で他の同格の力士と差をつけることができるようになります。

現に、今年秋場所の懸賞金獲得ランキングのトップ10では、上位2位は優勝を争った伊勢ヶ濱部屋所属の横綱日馬富士関と境川部屋所属の大関豪栄道関ですが、それ以下は遠藤関や貴乃花部屋所属の貴景勝関などの平幕力士となっており、入幕して1年もたたない宇良関に対しても出場した分に対して懸賞が賭けられた取り組みもありました。

宇良関の家族構成

宇良関の家族は現在、母親と姉妹1人ずつの4人がいます。このうち母親は体格にハンデがあるなどしたことから苦労と努力を重ね続けた宇良関を献身的に支えており、このサポートのおかげで、途中で相撲をやめることなく続けることができたそうです。また、毎年3月に地元の大阪で開催される春場所には応援グループを連れていく形で必ず観戦に参加しています。

ちなみに父親の出身地が沖縄県国頭村であり、宇良という苗字が、この近辺の地名に由来するという説があります。

白星を積み上げるために行っている宇良関の工夫

これらのように反り技などの多くの珍しい取り口で人気の宇良関ですが、本人は先述したアクロバティックな攻め方よりも押しや寄りといった基本的な攻め方に徹するように心がけており、過去1年間での決まり手の割合として押し出しと寄り切りで半数近くを占めています。確かに反り技を多用すると首の神経を痛めるなどのリスクが高いと指摘している関係者もいます。

また、相手に十分圧力を伝わりやすくするため、体重を増やすことにも専念しており、現在の体重は新入幕のころと比較すると7kgも増えています。

工夫と努力面で新三役を目指せるか

宇良関の強みとして、低い体勢から攻めていくことができやすいことが挙げられ、先述したような基本的な攻め方を確実にこなすことができれば、友綱部屋所属の魁聖関のような腰高タイプの力士を中心に相手の重心を崩しやすくなります。このようにして白星を確実に積み重ねていけば新三役の可能性は十分にあると考えられます。

まとめ

今場所も怪我の影響で休場してしまった宇良関ですが、これを直して正攻法の内容を取得できれば、ここまでで得てきた人気と実力を兼ね備えることになるため、ますます注目度が高まることにつながると思います。今後に十分期待できる力士であると私は思います。