フィクションが現実になった小説は今も昔も存在する

2019年8月22日

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東野圭吾さんの作品で『天空の蜂』という小説があります。

この小説は、福島第一原発の事故が起こる前に書かれた作品で、事故後に大きな話題になりました。

また、高村薫さんも『神の火』という作品で原発の事を書いており、事故後は高村さん自身が福島第一原発の事故についてインタビューに答えておられたりしました。

安全だと言われていた原発で、事故が起こる前からこのような作品を書かれていたことで話題になったのだと思いますが、昔からこのようなことは多々あったような気もします。小説に書かれていたことが現実に起こるというようなことが。

例えば、1800年代の生まれのフランスの小説家、ジュール・ベルヌなどは、現代の科学技術の進歩を予言させるような作品を幾つも書き残しています。ベルヌの作品は、ずいぶん前に何冊か読みましたが、とても面白く、時代を先取りしていたというのにふさわしい作品です。それも、二百年近く先の時代を先取りしていたのです。『月世界旅行』や『二十世紀のパリ』などは、書かれた当初は、そのようなことが起こるなどとは誰にも想像がつかなかったでしょう。そして、それらの作品群は、今、現代を生きる、四十歳近くの私が読んでも面白いと思えるものばかりです。 また、タイタニックの沈没事故も、起こる前にそれに似た小説が発表されていたと聞きました。この小説は、読んだことがありませんが、もし、読める機会があれば読んでみたいものです。

つまり、人間の創造力は現実を超えていくことが多々あるという事だと思います。もちろん、原発事故なんて不幸は、決して起こってはいけない問題です。しかし、これらの事で考えられることは、『絶対に』とか『決して』などということは、言い切ることができないという事なのではないでしょうか。

さて、私は実は『天空の蜂』も『神の火』も読んだことがありません。ベルヌの作品とともにこの二作品と共に、再びベルヌの作品も読んでみようと思っています。