平岩弓枝『幸福の船』

2017年10月26日

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私は以前から船旅に憧れています。1ヶ月くらい休みが取れればぜひ行きたいと長い間願っているのです。そんな私にとって、好きな小説の1つが平岩弓枝さん著の『幸福の船』です。

この小説は、婚約破棄という人生の痛手を経験したばかりの女性が船医として乗船する父親と共に船旅に出るという話です。その船の中のさまざまな人間模様をその女性の視点から描いていくというストーリーです。もちろん、恋愛や裏切りなども織り交ぜながら、船という小さな町内の出来事がとても興味深く描かれています。

なによりも、この作品で私が気に入っているのは、クルーズ中の船内の様子が手に取るように事細かに描かれているという事。ダンスパーティーやおいしい食事、デッキでの様子、停泊先での観光など・・・・

私にとってみれば、夢のようなうらやましい様子が描かれています。

それに加え、船中で出会う主人公の女性の新しい恋愛なども私にとってはうらやましい限りです。(しかし、この恋愛相手が最後に少し訳のある男性だということが発覚はするのですが・・・・)

それにしても、この小説のように『自分が体験できないことを体験させてくれる』ということが小説の醍醐味の一つだと思います。

さて、平岩弓枝さんの作品は、御宿かわせみをはじめとする歴史小説が有名ですが、私はどちらかと言えば、この『幸福の船』のような現代小説が好きです。

平岩さんの作品は、現代小説でいえば、さまざまな夫婦の様子を描いたものや、熟年の女性の恋愛を描いたものなどさまざまですが、御宿かわせみに負けないくらい夢中にさせてくれる作品の数々です。女性作家ならではの視点で書かれているので、女性寄りの作品であるのは否めませんが、気持ちが落ち着いて、ゆったりした気持ちの時に読むのにちょうどよい作品群です。

この『幸福の船』はたまたま書店で見つけて、何気なく手に取ったのですが、そのおかげで平岩さんの作品を何作か読む機会を得られたので、本も出会いのものなのだなと思います。